「ホームページを新しくしたいが、医療は広告のルールが厳しいと聞くので怖い」。歯科医院や診療所の先生方から、いちばんよくいただくお話です。調べようとすると、出てくるのは百ページ単位のPDFか、「まずはご相談ください」で終わる専門家のコラム。判断できないまま、何年も古いページのまま——というケースは少なくありません。

結論から申し上げます。保険診療の案内が中心の医院であれば、覚えることはそれほど多くありません。守るべきは「してはいけない広告をしない」ことと「問い合わせ先を書いておく」ことが中心で、条件がぐっと増えるのは自由診療(保険がきかない治療)のページを載せるときです。この線引きを先に知っておくと、必要以上に萎縮せずに済みます。

この記事では、①なぜホームページが広告扱いになったのか ②自分の医院はどちらのルールか ③してはいけないこと ④患者さんの声と症例写真 ⑤自由診療を載せるときの4条件 ⑥公開前チェックと相談先、の順にご説明します。内容はすべて厚生労働省が公開している医療広告ガイドライン・同Q&A・事例解説書にもとづくもので、2026年8月時点の記述です。

01なぜホームページが「広告」になったのか

かつて医療機関のホームページは、原則として広告規制の対象ではありませんでした。「自分で検索してたどり着くものだから、看板やチラシとは違う」という整理だったためです。

これが変わったのが2018年(平成30年)6月1日です。美容医療をめぐる相談が増えたことを受けて医療法が改正され、医療機関のウェブサイトも、他の広告媒体と同じように虚偽や誇大な表示を禁止し、是正命令や罰則の対象とすることとされました(厚生労働省医政局長通知 医政発0508第1号)。

ここで押さえておきたいのは、規制がかかる範囲の広さです。厚生労働省のQ&Aでは、チラシに印刷したQRコードを読み込んで表示されるページも、医院が配布するスマートフォンのアプリも、ウェブサイトと同様に広告規制の対象になると説明されています。つまり「ホームページだけ気をつければいい」という話ではなく、患者さんに見せるために医院が用意した画面は、ひととおり同じ目線で見ておく必要があるということです。

検索するときの注意。「医療機関のホームページは広告規制の対象外」と書かれた資料が、いまもインターネット上に残っています。これは2018年の法改正より前の古いガイドラインにもとづく記述です。年月日の入っていない解説ページを読むときは、2018年6月1日より後に書かれたものかを必ず確かめてください。

02自分の医院は、どちらのルールか

医療広告のルールは、ひとかたまりの決まりではありません。「そのページに自由診療の案内があるかどうか」で、必要なことが変わります。

まず言葉の整理を。自由診療とは、公的な医療保険がきかない治療のことです。歯科であればインプラント・矯正・ホワイトニング・自費の被せ物、医科であれば美容目的の施術や自費の検査などが当てはまります。一方、保険証を出して受けられる通常の診療が保険診療です。

判定フロー:そのページに自由診療の案内があるかどうかで、必要な対応が変わる。保険診療のみなら禁止広告をしないことと問い合わせ先の明示、自由診療を載せるならさらに治療内容と費用、主なリスクと副作用の記載が必要になる そのページに、自由診療 (保険がきかない治療)の案内はありますか? いいえ はい 保険診療の案内だけ 必要なのは、この2つ ① 患者さんが自分で見にくるページ ② 問い合わせ先を書いておく ①は通常のホームページなら原則満たす 自由診療も載せている ①②に加えて、さらに2つ ③ 治療の内容と、標準的な費用 ④ 主なリスク・副作用 ③④は自由診療のページに限って必要 どちらの場合も共通 ── 虚偽・比較優良・誇大・体験談などの 「してはいけない広告」は、保険診療のページでも同じく禁止です
図1:必要な対応は「自由診療の案内があるかどうか」で分かれます。③と④は、医療広告ガイドラインで「自由診療について情報を提供する場合に限る」と明記されている条件です。

この①〜④は、正式には「広告可能事項の限定解除の要件」と呼ばれます。難しい言葉ですが、意味はこうです。医療法では、広告してよい事項が法律であらかじめ決められています。そのままだと診療内容の詳しい説明すら載せられず、かえって患者さんが困る。そこで一定の条件を満たしたページに限って、その「決められた事項しか書けない」という制限を外す——それが限定解除です。

言い換えれば、①〜④は足かせではなく、詳しく書くための入場券です。ここを誤解して「何も書けない」と縮こまってしまう医院が多いのですが、実際は逆で、条件を満たせば書ける範囲は広がります。

03してはいけない広告と、その言い換え

では、条件を満たしていても書けないものは何か。医療広告ガイドラインでは、次のものが禁止されています。これは保険診療・自由診療にかかわらず共通です。

種類ガイドラインに載っている例事実にもとづく書き方への置き換え
虚偽の広告
(罰則つきで禁止)
「絶対安全な手術です!」/「どんなに難しい症例でも必ず成功します」/「厚生労働省の認可した○○専門医」/根拠や調査方法を示さない「○%の満足度」安全性は断定せず、実際の手順と起こりうることを書く。資格は認定した学会・団体の正式名称で書く。数字を出すなら調査方法と時期をセットで
比較優良広告「日本一」「No.1」「最高」など最上級の表現。客観的な事実であっても禁止されます他院との比較をやめ、自院が実際にしていることを書く(例:「◯時まで診療」「◯◯の設備があります」)
誇大広告「知事の許可を取得した病院です!」(義務であることを特別な許可のように強調)/実態と合わなくなった医師数の掲載当然のことを強調しない。人数や体制の記載は実態に合わせて更新する
体験談治療の内容・効果についての患者さんの体験談。口コミサイトからの転載や、直筆アンケートの画像・PDF掲載も対象感想ではなく診療の流れ・所要時間・通院回数など、事実で不安に答える
品位を損ねる広告「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で○○療法を50%オフ」「○○治療し放題プラン」「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」費用はあおらずに、通常の料金として掲載する。景品や割引で来院を促す見せ方にしない

※ 例はいずれも厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」第3の1に記載されているもの(2026年8月時点で確認)。右列の書き方は、ガイドラインの考え方をふまえた一般的な整理であり、個別の表現の可否を保証するものではありません。

この表を眺めると、共通しているのは「言い切ること」と「あおること」だとわかります。医療は結果が人によって変わるものなので、断定と煽りが最も嫌われる、という一本の筋が通っています。逆に言えば、事実をそのまま書いているうちは、たいてい問題になりません。

禁止されているのは言い切ることであって、伝えることではありません。事実を丁寧に書いた医院ほど、結果的に読まれています。

04患者さんの声と、症例写真

実務でいちばん判断に迷うのがこの2つなので、章を分けます。

「患者さんの声」は原則として載せられません

治療等の内容・効果に関する体験談は、医療に関する広告としては認められないとされています。理由は、同じ治療でも患者さんごとに結果が異なるため、誤認を与えるおそれがあるから、と説明されています。

注意したいのは、その範囲です。厚生労働省の事例解説書では、口コミサイトに書かれた口コミを自院のサイトに転載する形や、患者さんの直筆アンケートを写真やPDFにして載せる形も対象になると整理されています。「うちが書いたものではなく、患者さんが書いたものだから」は理由になりません。

いただいた口コミそのものへの対応は、また別の話になります。事実と異なる内容を書かれてしまった場合の考え方はGoogleの口コミは削除できる?依頼の手順と現実的な選択肢にまとめています。

症例写真は「一律禁止」ではありません

ビフォーアフター写真については、誤解が広まっています。ガイドラインの整理では、患者等を誤認させるおそれがある写真は認められない一方、詳細な説明を付した場合はこれに当たらないとされています。

必要な「詳細な説明」として挙げられているのは、通常必要とされる治療内容費用等に関する事項、治療等の主なリスク・副作用等です。そして掲載方法にも指定があります。これらの説明をリンクを張った先のページに置くことや、利点・長所と比べて極端に小さな文字で載せる形は採用してはならない、とされています。写真のすぐそばに、同じ読みやすさで書く、ということです。

加工した写真は、別の扱いになります。ガイドラインは、あたかも効果があるかのように見せるために加工・修正した術前術後の写真を虚偽広告として扱う、としています。明るさや色味の調整であっても、治療の結果が違って見える形での加工は避けてください。

05自由診療を載せるなら ── 4つの条件を読める形で

インプラント・矯正・ホワイトニングなど自由診療のページをつくるなら、02の①〜④をそのページで満たす必要があります。それぞれ、何を書けばよいのかを具体化します。

広告可能事項の限定解除の4要件:患者が自ら求めて入手するページであること、問い合わせ先の明示、自由診療の治療内容と費用、自由診療の主なリスクと副作用。3番目と4番目は自由診療の場合に限る 1 自分で見にくるページ 患者さんが自ら求めて情報を見に くるページであること → 通常の医院サイトなら原則満たす 2 問い合わせ先の明示 患者さんが容易に照会できるよう、 電話番号やメールアドレスを記載 → 保険診療だけの医院でも必要 3 治療内容と費用 通常必要とされる治療の内容と、 標準的な費用に関する情報 → 自由診療のページに限って必要 4 主なリスク・副作用 その治療にともなう主なリスクや 副作用に関する情報 → 自由診療のページに限って必要
図2:限定解除の4要件(医療広告ガイドライン 第5の2・2026年8月時点)。③④は「自由診療について情報を提供する場合に限る」とされています。

ここで見落とされがちなのが、「書いてあるかどうか」ではなく「読める形で書いてあるかどうか」が見られる点です。厚生労働省のQ&A(Q5-11)は、次のようなものは容易に確認できる状態とは考えられない、としています。

  • 文字が極端に小さく、容易に確認ができないと考えられるもの
  • 背景色と同じ、あるいは同系統の文字色で書かれているなど、配色に問題があると考えられるもの
  • 意図的に情報量を増やし、必要な事項を見逃すおそれがあると判断できるもの

デザインの都合で注意書きを薄いグレーの小さな文字にする、という処理はよく行われます。医院のサイトでは、それが要件を満たさない扱いになりうる、ということです。制作会社に依頼するときは、この点を先に共有しておくと手戻りが減ります。

ページ単位で見る、という考え方。限定解除の要件は、サイト全体ではなく、そのページで満たされているかが問われます。トップページに電話番号があるからといって、自由診療の詳細ページに費用やリスクの記載がなくてよい、とはなりません。自由診療のページは1枚ずつ確認するのが安全です。

06公開前のチェックと、迷ったときの相談先

最後に、原稿ができたときに院内で回せるチェックをまとめます。特別な知識は要りません。

見るところ確認すること
断定していないか「絶対」「必ず」「確実に」「100%」が本文にないか。検索機能で語を探すのが早い
比べていないか「日本一」「No.1」「最高」「地域唯一」など、他院との優劣を示す言葉がないか
あおっていないか「今だけ」「期間限定」「◯%オフ」「先着」「プレゼント」など、費用や景品で来院を促す表現がないか
感想を載せていないか治療の効果に関する体験談・口コミ転載・アンケート画像がないか
数字に根拠があるか症例数・満足度などを載せる場合、調査方法と時期を一緒に書けるか。書けないなら載せない
問い合わせ先が見えるか電話番号やメールアドレスが、各ページから無理なくたどれるか
自由診療のページ治療内容・標準的な費用・主なリスク/副作用が、同じページに読める大きさで書かれているか

それでも判断がつかない表現は、必ず出てきます。そのときの正しい行き先は、ウェブ制作会社ではありません。厚生労働省は、医療に関する広告についての相談先を「医療機関を所管する自治体の窓口」と案内しており、都道府県ごとの窓口一覧も公開しています。都道府県庁や保健所の医務担当課が窓口になっていることが多く、具体的な文面を持ち込んで相談できます。

また、厚生労働省は医療機関ネットパトロールという監視事業を行っており、違反が疑われるサイトの通報を受け付けています。つまり、自院のサイトは誰かに見られている前提で考えたほうが現実的です。行政に指摘されてから直すより、公開前に1周見るほうが、かかる手間はずっと小さく済みます。

なお、ここまでの内容は2026年8月時点で公開されている資料にもとづく一般的な整理です。厚生労働省は事例解説書の改訂を重ねており、直近では第6版が2026年3月30日付の事務連絡で示されています。個別の表現が規制に当たるかどうかの最終的な判断は、所管の自治体窓口や専門家にご確認ください。

ホームページそのものの費用感や、見積書のどこを見ればよいかについてはホームページの見積書、どこを見ればいい?を、Googleマップ上の医院情報が知らないうちに書き換わってしまう問題についてはGoogleマップの店舗情報が勝手に変わるのはなぜ?もあわせてご覧ください。

FAQよくあるご質問

うちは保険診療だけです。それでも医療広告ガイドラインは関係ありますか?

関係しますが、守る範囲は自由診療を載せている医院より狭くなります。医療広告ガイドラインでは、広告できる事項の限定を解除するための4つの要件のうち、3つ目(治療の内容と費用)と4つ目(主なリスク・副作用)について「自由診療について情報を提供する場合に限る」と定められています。つまり保険診療の案内だけであれば、必要なのは「禁止されている広告をしないこと」と「問い合わせ先を明示すること」が中心になります。ただし虚偽・誇大・比較優良・体験談などの禁止は保険診療でも共通です(2026年8月時点)。

「患者さんの声」をホームページに載せてはいけないのですか?

治療等の内容や効果に関する体験談は、医療に関する広告としては認められないとされています。厚生労働省の事例解説書では、口コミサイトに投稿された口コミを転載する形や、患者さんの直筆アンケートを画像やPDFにして掲載する形も対象になると説明されています。一方で、院内の雰囲気や設備についての感想までが一律に禁じられているわけではありません。ただし治療の効果を連想させるかどうかは表現次第で判断が分かれるため、掲載を検討する場合は所管の自治体窓口にご確認ください。

制作会社に任せているのですが、内容の責任はどちらにありますか?

医療法は、広告を行った者を規制の対象としています。厚生労働省が都道府県などに宛てた通知でも、不適切な医療広告の実施者に対して是正に向けた行政指導等を実施するよう求められています。つまり、原稿を書いたのが制作会社であっても、指導や是正の相手方になるのは広告を出している医療機関です。制作会社に任せること自体は問題ありませんが、公開前に院長ご自身が内容を読める状態にしておくことをおすすめします。

症例写真(ビフォーアフター)は絶対に載せられないのですか?

一律に禁止されているわけではありません。医療広告ガイドラインでは、治療前後の写真は患者等を誤認させるおそれがあるものは認められないとされる一方、詳細な説明を付した場合はこれに当たらない、と整理されています。必要とされるのは、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項、治療等の主なリスク・副作用等に関する事項です。またその説明を、リンクを張った先のページに置いたり、利点や長所と比べて極端に小さな文字で載せたりする形は採用してはならないとされています。加工・修正した写真は虚偽広告として扱われます。

まとめ

医療広告のルールは、一度地図を持ってしまえば、毎回ゼロから悩むものではなくなります。順番はこうです。①そのページに自由診療があるかを見る ②してはいけない広告(断定・比較・あおり・体験談)を外す ③自由診療のページには内容・費用・リスクを読める大きさで書く ④迷ったら所管の自治体窓口に聞く

そして、ここまでお読みいただいて感じられたかもしれませんが、ルールが求めているのは「静かにすること」ではなく「正確に伝えること」です。診療の流れ、通院の回数、かかる費用、起こりうること。それを丁寧に書いた医院のページは、規制にも強く、患者さんにとっても読みやすいものになります。

xFactory では、ホームページを税別50,000円(税込55,000円)から制作し、公開後の運用サポートを月額 税別2,000円(税込2,200円)でご用意しています。医療広告の適否そのものを判定するのは私たちの役割ではありませんが、「この表現の根拠を示せるか」を原稿の段階で一緒に確認しながら組み立てることはできます。すでにあるページの整理からのご相談でも構いません。歯科医院向けには、患者さん向けとは別に歯科医院の採用サイトのご案内もご用意しています。

xFactory 編集部
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