「ホームページからの問い合わせが、めっきり減った気がする」。そうご相談をいただいて調べてみると、問い合わせはちゃんと来ていて、お店側に届くはずの通知メールだけが消えていた——ということがあります。
先に結論をお伝えします。フォームのメールが届かないときは、①そもそも送信されていない ②送信はされたが、受け取る側で捨てられている ③届いているが、営業メールに埋もれて気づいていない——このどれかです。そしていちばん多いのは②です。
②がやっかいなのは、画面の上では何ごともなく見えることです。送信ボタンを押せば「送信しました」と表示され、お客様には自動返信も届く。止まっているのは、お店側に届くはずの通知だけ。お客様は「返事をくれない店だ」と感じ、こちらは「問い合わせが来ない」と思っている。どちらも間違っていないまま、機会だけが静かに失われていきます。
この記事では、①なぜこの壊れ方が起きるのか ②まず3つに切り分ける ③受信箱だけで終わる30分の確認手順 ④症状別・原因と相談する先 ⑤営業メールに埋もれる、もうひとつの取りこぼし ⑥次に起きても気づける仕組み、を順にご案内します。専門用語は、出てくるたびにふつうの言葉に置き換えます。
この記事の内容は2026年8月時点のものです。メールの届きにくさに関わる仕組みは、年々きびしくなる方向で変わり続けています。また、設定そのものを書き換える作業は、この記事では推奨していません。ドメインやサーバーの設定は、ふだんお使いのメールにも影響する場所だからです。ご自身でやっていただくのは「どこで止まっているかを確かめるところまで」。その先は、伝え方をご案内します。
01「問い合わせが減った」の何割かは、届いていないだけ
メールは、送信ボタンを押してから相手の受信箱に入るまでに、いくつもの関所を通ります。どの関所で止まっても、送った側の画面には「送信しました」と出ます。だから、送った本人にも、受け取るはずだった本人にも、止まったことが分からないのです。
いちばん多い壊れ方は、差出人の設定です
フォームの通知メールは、お店のホームページが置かれているサーバーから送られています。ところが、その通知の差出人(メールソフトに表示される「送信者」の欄)を、お客様が入力したメールアドレスにしている設定がよく使われています。受信箱で問い合わせを見返すときには便利なのですが、受け取る側から見ると、話が変わります。
「◯◯さんのアドレスを名乗っているのに、まったく関係のないサーバーから送られてきたメール」。これは、なりすましメールの形と区別がつきません。近年は、この種のメールを迷惑メールフォルダにも残さずに捨てる受信サービスがあります。どこにも残らないので、あとから探しても見つかりません。
直し方そのものは、実はそれほど大げさではありません。差出人はお店のドメインの固定アドレスにして、お客様のアドレスは「返信先」の欄に入れる——この形に変えるだけです。受信箱での使い勝手(返信ボタンを押せばお客様に返る)は変わりません。作業をするのは制作会社か保守を頼んでいる会社ですので、04章の文面をそのままお渡しください。
設定を変えていないのに、ある日から届かなくなる理由
「何も触っていないのに、急に届かなくなった」。これもよくいただくご相談です。原因は、受け取る側の基準が上がったからです。
Googleは2024年から、Gmail宛にメールを送る側に向けたガイドラインを段階的に適用しています。とくにGmailの個人アカウント宛に1日あたり5,000通以上を送る送信者には、送信元を証明する3つの設定(SPF・DKIM・DMARC)が求められます(出典:Google「メール送信者のガイドライン」Gmail ヘルプ/2026年8月時点で確認)。
ふつうのお店のフォーム通知が、1日5,000通に届くことはまずありません。ですからこの基準そのものに当てはまるわけではないのですが、大事なのは方向です。業界全体が「送信元を証明していないメールは信用しない」方向に動いているため、こちらが何も変えていなくても、判定だけが年々きびしくなっていきます。数年前まで届いていたものが、今年から届かない。それは、あなたの落ち度ではありません。
02まず、3つに切り分ける
原因を探し始める前に、症状を3つの質問で切り分けてください。ここを飛ばすと、関係のない場所をいじって時間を使うことになります。
- どちらが届いていないか。お店側に届く通知メールか、お客様に届く自動返信か、その両方か。「自動返信は届くのに、通知だけ来ない」なら、原因はかなり絞れます
- すべての宛先か、特定の宛先だけか。とくに多いのが「Gmail宛だけ届かない」という形です。片方の宛先にだけ届かないなら、フォームではなく送信元の証明のほうに原因がある可能性が高くなります
- いつから届いていないか。受信箱を「お問い合わせ」などの言葉で検索して、最後に届いた1通の日付を特定してください
3つ目は、必ず調べてください。「気づいた日」と「止まった日」は、たいてい違います。止まった日の前後に、サーバーの引っ越し、ドメインの更新、フォームの入れ替え、メールアドレスの変更、担当していた方の退職——こうした心当たりがあれば、そこが原因である可能性がとても高くなります。
原因を探す前に、止まった日を特定する。この1つで、探す範囲が何分の一かになります。
0330分でできる、4つの確認
ここから先は、すべて受信箱とスマートフォンだけで終わります。設定画面を開く必要はありません。所要は合わせて30分ほどです。
- 受信箱の「見落とし」を先につぶすまず、届いている可能性から消していきます。迷惑メールフォルダ、Gmailをお使いなら「プロモーション」「更新情報」のタブ、そしてメールソフトの自動振り分けルール。この3か所を見てください。何年か前にご自分で作った振り分けルールが、問い合わせメールを別のフォルダへ移していた、ということが実際にあります。ここで見つかれば、それは「届いていない」のではなく「気づいていない」だけです。あわせて、受信箱を「お問い合わせ」で検索し、最後に届いた日付を控えておきます。
- 自分でフォームから送ってみるお客様と同じように、ホームページのフォームから送信します。本文にはその日の日時を書いておくと、あとで見分けがつきます。見るのは2つです。①お店側に通知が届くか ②送信した本人に自動返信が届くか。どちらか片方だけが届く場合、その事実がそのまま原因を絞る手がかりになります。なお、送信ボタンを押しても完了画面に進まない、エラーが出るという場合は、メールの問題ではなくフォーム自体の不具合です。
- 宛先を変えて、もう一度送るここがいちばん効きます。種類の違う2つのメールアドレスで受け取ってみてください。たとえば、ふだんお使いの独自ドメインのアドレスと、無料のGmailのアドレス。片方には届いて、もう片方には届かないなら、フォームは正常に送っていて、受け取る側の判定で捨てられている可能性が高くなります(図1の関所2)。両方に届かないなら、関所1、つまりフォームや送信先の設定のほうを疑います。この1回の比較で、相談する先が変わります。
- 送信先のアドレスが、まだ生きているかを確かめる意外に多いのがこれです。フォームの送信先に設定されたアドレスが、すでに使われていないというケース。担当されていた方が辞められた、メールサービスを乗り換えた、しばらく使っていない無料のアドレスだった。フォーム自体は元気に動いていても、宛先がなければ届きません。転送設定を何段も重ねている場合も要注意です。転送を挟むほど、途中で消える確率は上がります。「うちは、あのアドレスに来ることになっているはず」という記憶ではなく、そのアドレスに直接メールを送って、受け取れるかを確かめてください。
ここまでで十分です。直すところまでを、ご自身でやる必要はありません。この4つで分かるのは「どこで止まっているか」であって、それが分かっていれば、次の章の伝え方で話が通じます。
なお、フォームは正常で、そもそも見に来ている方が少ないという可能性もあります。問い合わせ自体が少ないと感じておられる場合は、ホームページから問い合わせが来ない理由もあわせてご覧ください。この記事の確認を先に済ませてから読んでいただくと、順番として無駄がありません。
04症状別・考えられる原因と、相談する先
03章で分かった症状を、この表のいちばん左の列から探してください。相談する先が違うと、話は前に進みません。フォームの話をサーバー会社にしても、サーバーの話を制作会社にしても、たらい回しになりがちです。
| 症状 | まず考えられる原因 | 相談する先 |
|---|---|---|
| お店側の通知だけ届かない(自動返信は届く) | 通知メールの差出人が、お客様のアドレスになっている | 制作会社・保守を頼んでいる会社 |
| 特定の宛先だけ届かない(Gmail宛だけ、など) | 送信元を証明する設定が未設定、または古い内容のまま | サーバー会社・ドメインを管理している会社 |
| ある日から急に、全部届かない | サーバーの引っ越し、ドメインやメールの設定変更、送信元アドレスの廃止 | サーバー会社・制作会社 |
| 迷惑メールフォルダに入っている | 送信元の証明の不備、または受信側の振り分け設定 | まずご自身で確認できます(03章の1) |
| 送信ボタンでエラーが出る | フォーム側の不具合、または自動送信対策の誤作動 | 制作会社・保守を頼んでいる会社 |
| 届くけれど、営業メールばかり | フォームが自動送信のプログラムに拾われている | 制作会社(→ 05章) |
そのまま送れる、依頼の文面
専門用語で説明する必要はありません。03章で分かった事実を並べるだけで十分です。次の文面をコピーして、日付と症状の部分だけ書き換えてお使いください。
お世話になっております。ホームページのお問い合わせフォームからの通知メールが、◯月◯日以降、届いていません。お客様への自動返信は届いております(/届いておりません)。テストしたところ、Gmail宛には届き、独自ドメイン宛には届きません(/どちらにも届きません)。迷惑メールフォルダと振り分けルールは確認済みです。
つきましては、①通知メールの差出人が、送信されたご本人のアドレスになっていないか ②当方ドメインの送信元認証(SPF・DKIM)の設定状況、この2点をご確認いただけますでしょうか。あわせて、確認と対応にかかる費用の目安もお知らせいただけますと助かります。
最後の一文を入れておくのは、あとで金額の話でつまずかないようにするためです。確認だけであれば費用がかからないこともありますので、聞いておいて損はありません。もし制作を頼んだ会社と連絡が取れない場合は、制作会社と連絡が取れないときの進め方をご覧ください。ドメインとサーバーが誰の名義なのかをたどるところから整理しています。
やらないほうがいいこと、4つ
- 原因を見ないまま、フォームを作り直す。受け取る側で捨てられているのが原因なら、作り直しても同じ結果になることがあります
- 迷惑メール対策を、とりあえず全部切る。営業メールが一気に増えて、本物の問い合わせがさらに埋もれます
- 転送設定を重ねる。転送を挟むほど届かない確率は上がり、原因の切り分けも難しくなります
- 「届いていないかもしれない」と思ったまま様子を見る。失っているのは、問い合わせそのものです
05営業メールに埋もれる、もうひとつの取りこぼし
ここまでは「届かない」ほうの話でした。もう一方の取りこぼしが、届いているのに気づかないほうです。損失の大きさは同じです。
ホームページのお問い合わせフォームは、自動でメールを送るプログラムに拾われやすい場所です。1日に何通も営業メールが入るようになると、受信箱を開くのが億劫になり、本物の1通が流れていきます。「フォームからのメールは、だいたい営業だから」という感覚ができてしまうと、いちばん取りたい問い合わせを取り逃がします。
対処は、軽いものから順に試すのが安全です。いきなり厳しくすると、本物の問い合わせまで弾いてしまうからです。
- フォームに自動送信対策を入れてもらう。送信の前に、人が操作していることを確かめる仕組みを足します。制作会社に「フォームに自動送信対策を入れてほしい」と伝えれば通じます。入れたあとは必ず自分で送信テストを——対策が強すぎて、お客様の送信まで止まっていないかを確かめます
- フォーム通知だけを、専用の場所に集める。通知メールの件名の先頭に、お店の名前など固定の目印を入れてもらい、その目印でフォルダやラベルに自動で仕分けます。営業メールと同じ受信箱で戦わずに済みます
- 受け取る人を2人にする。通知の宛先を、担当者個人のアドレスと、店舗の共有アドレスの2つにします。1人しか受けていないと、その方が休まれた週に止まります
逆に、迷惑メール対策の強さで解決しようとしないことです。強くすれば本物が消え、弱くすれば営業メールに埋もれる。この調整で行ったり来たりしても、答えは出ません。判断の軸は営業メールの通数ではなく、「本物の問い合わせを見落としていないか」のほうに置いてください。
06「二度と気づかない」を、作らない
今回直せたとしても、メールの世界の基準はこれからも変わり続けます。次に止まったときに、早く気づける形を作っておくほうが、長い目で見て効きます。どれも数分で終わることばかりです。
いちばん効くのは、月に一度のテスト送信を「予定」にしてしまうことです。毎月1日、開店前の3分。2種類の宛先で受け取れることを確かめるだけです。気づいた日と止まった日の差が、最大でも1か月に収まります。
フォーム以外の連絡先をページに書いておくことも、地味ですが効きます。電話番号、LINE、メールアドレス。フォームが止まっても、お客様の道が完全には途切れません。「フォームがあるから大丈夫」と思っていた店ほど、止まったときの損失が大きくなります。
こうした点検を、ホームページ全体でどう回していくかは、ホームページ運用のチェックリストにまとめています。フォームのテスト送信も、その中の1項目として置いておくと忘れません。
Qよくあるご質問
SPFなどの設定は、自分で触っても大丈夫ですか?
おすすめしません。SPFは「このドメインのメールは、ここから送ります」という宣言をドメインの設定に書いておくもので、書き換える場所はホームページの管理画面ではなく、ドメインやサーバーを管理している会社の画面です。ここは、メールそのものの通り道を決めている場所ですので、書き方を1文字まちがえると、フォームの通知だけでなく、ふだん使っているメールまで届かなくなることがあります。さらにややこしいのは、この宣言は1つのドメインに1本しか置けないというルールがあることです。すでに何かのサービス用に書かれている場合、新しく書き足したつもりが上書きになり、これまで届いていたメールが止まる、ということが起こります。ご自身でやっていただきたいのは、この記事の03章までです。つまり、いつから届いていないか、どちらの宛先に届かないか、を確かめるところまで。その情報をそのままお伝えいただければ、あとはサーバー会社か制作会社の作業です。確認だけなら費用が発生しないことも多く、聞いてみて損はありません。
フォームを新しく作り直せば直りますか?
原因によります。作り直しで直るのは、フォームそのものの不具合や、送信先のアドレスが間違って設定されていた場合です。一方、この記事でいちばん多いとご説明した「送信は成功しているのに、受信側で捨てられている」形の場合は、新しく作り直しても同じ結果になることがあります。原因が、フォームの中ではなく、メールの送り方や送信元の証明の側にあるからです。ですから、順番としては、まず03章の切り分けをして、どこで止まっているかを言葉にしてから相談してください。「作り直しましょうか」と提案されたときも、「作り直すと、この症状のどこが変わりますか」と一言たずねていただくと、話が具体的になります。その答えがはっきりしないまま作り直すのは、費用も時間ももったいない進め方です。なお、フォームを別のサービスに移すこと自体が悪いわけではありません。移すなら移すで、移したあとに必ず2種類の宛先へテスト送信をして、届くことを確かめてください。
制作会社と連絡が取れません。どこに相談すればいいですか?
サーバー会社が窓口になることがあります。メールが届かない原因の多くは、ホームページのデザインではなく、ドメインとサーバーの設定にあります。ご自身がレンタルサーバーの契約者であれば、そのサポート窓口に「フォームからの通知メールが届かない」と伝えて、送信元の証明の設定がどうなっているかを確認できます。契約者が制作会社になっている場合は、まずご自身が契約者になれるかを確認するところからです。この段階で、ドメインとサーバーが誰の名義で、どこで契約されているのかが分からない、ということもよくあります。その場合は、契約の書類やクレジットカードの明細、毎年届く更新のお知らせメールが手がかりになります。同じような状況の進め方は、別の記事で詳しくご案内しています。急ぎで問い合わせを取りこぼしたくない場合の応急処置としては、ホームページに電話番号や別のメールアドレス、LINEなどの連絡先を大きく載せておくことです。フォームが直るまでのあいだ、お客様の道が完全に途切れないようにしておきます。
お客様への自動返信メールは、そもそも必要ですか?
あったほうが親切ですが、必須ではありません。自動返信の役割は、送った側に「たしかに受け付けました」と伝えて、不安な時間を短くすることです。ただ、自動返信が迷惑メールフォルダに入ってしまう場合、お客様は「送れていないのかもしれない」と感じ、かえって不安になることもあります。ですから、自動返信を出すのであれば、送信が終わったあとの画面にも「自動返信が届かない場合は、迷惑メールフォルダをご確認ください」と一文を添えておくとよいと思います。画面の文章は、メールと違って必ず表示されるからです。逆に、自動返信を出さない場合は、送信完了の画面で「◯営業日以内にご連絡します」と目安をはっきり書いてください。大事なのは、自動返信そのものではなく、お客様が「届いたかどうか分からない」という状態に置かれないことです。なお、お店側に届く通知メールのほうは、自動返信とは別のものですので、こちらは必ず届く状態にしておいてください。
+まとめ
持ち帰っていただきたいのは3つです。①「問い合わせが減った」と感じたら、減ったのか、届いていないのかを先に分ける ②いちばん多いのは、送信は成功しているのに、お店側の通知だけが消えている形。この壊れ方は迷惑メールフォルダにも残らない ③自分でやるのは、いつから・どちらの宛先に、を確かめるところまで。設定は触らずに、その事実を伝える。
そして、この記事でいちばんお伝えしたかったのは06章です。今回直しても、受け取る側の基準はこれからも変わります。月に一度、3分のテスト送信。これがあるかないかで、次に止まったときに気づくまでの時間が、何か月分も変わります。
最後に、今日できることをひとつだけ。ご自身のホームページのフォームから、いま1通送ってみてください。本文に今日の日付を書いて、お店の受信箱と、もう1つ別のアドレスで受け取れるかを見る。5分で終わります。届けば、それで安心してかまいません。届かなければ、この記事の04章の文面を、そのままお使いください。
私たちがホームページをお作りする場合(税別50,000円(税込55,000円))も、フォームの通知はお渡しする前に、種類の違う宛先で受け取れることを確認してからお渡ししています。すでに他社さんで作られたホームページについても、どこで止まっているかを一緒に見るところまでは、無料相談の中で対応しています。設定の作業自体は、契約されている会社にお願いすることになる場合もありますが、そのときの伝え方までご案内します。売り込みはしません。
※ 本記事は2026年8月時点で公開されている情報をもとに、一般的な考え方を整理したものです。メールの到達に関わる仕組みは変更されることがあり、また、ご利用のサービスや契約内容によって確認方法・対応方法は異なります。実際の対応にあたっては、ご契約のサーバー会社・制作会社にご確認ください。なお、本記事の内容を実施することで、問い合わせ数や集客の結果をお約束するものではありません。