「インスタは毎日更新しているけれど、ホームページも作ったほうがいいのでしょうか」。これは、私たちがいちばん多くいただくご相談です。そして、いちばん一般論で答えてはいけないご相談でもあります。
先に結論をお伝えします。今のやり方で予約や問い合わせが足りているなら、ホームページは急いで作らなくてかまいません。私たちはホームページを作る側ですが、それでもそうお伝えしています。作ったほうがよいのは、「必要そうだから」ではなく、取りこぼしが実際に起きているときです。
そして大事なことがひとつあります。取りこぼしが起きているかどうかは、感覚ではなく、スマートフォン1台で確かめられます。この記事では、①判断の基準を「必要か」から「取りこぼしているか」に置き換える理由 ②作らなくていい店の3条件 ③スマホ15分でできる自己診断 ④インスタが苦手な3つのこと ⑤お金のかからない順番 ⑥それでも作るなら最初に載せる5つ、を順にご案内します。
この記事には「何割の人が検索する」といった統計を書いていません。出どころのはっきりしない数字で判断すると、かえって迷うためです。代わりに、ご自身の店で測る手順をお渡しします。また、特定のサービスの優劣を論じるものではありません。各サービスの画面表示や仕様は変わりますので、記載は2026年8月時点のものとしてお読みください。
01「必要か」ではなく「取りこぼしているか」で決める
「うちの業種でホームページは必要ですか」と聞かれると、答えに困ります。業種でも、店の規模でも、開業してからの年数でも決まらないからです。同じ美容室でも、紹介だけで予約が埋まっている店と、新しいお客様を増やしたい店では、答えが逆になります。
それに、この問いには構造的な弱点があります。ホームページを作る会社に「必要ですか」と聞けば、「必要です」と返ってきやすいということです。これは誰かが不誠実だという話ではなく、聞き方の問題です。作る側は作る場面をよく知っているので、必要な理由をいくらでも挙げられます。私たちも例外ではありません。
ですから、問いを置き換えてください。「ホームページは必要か」ではなく、「いま取りこぼしが起きているか」です。取りこぼしとは、あなたの店に来るつもりだった人が、判断できずに離れてしまった状態を指します。来なかった人は何も言ってくれませんので、放っておくと気づけません。だからこそ、測る手順が要ります。
02インスタだけで足りている店の、3つの条件
先に「作らなくていい店」からお伝えします。次の3つが全部あてはまるなら、今日ホームページを作る必要はありません。
条件1:お客様が「店名を知った状態」で来ている。紹介、常連、通りがかり、既存のお客様のリピート。この形で来ている場合、他店と並べて比べられる場面がほとんどありません。比べられないなら、比べるための材料も要りません。
条件2:予約や注文が、いまの窓口で最後まで完結している。DMでも、電話でも、予約サービスでもかまいません。途中で止まらずに終わっているなら、窓口としては足りています。「DMだと返信が遅れて取りこぼす」と感じているなら、それは条件を満たしていません。
条件3:採用・法人のお取引・単価の高いご相談を、いま増やす予定がない。この3つは、相手が「ちゃんとした会社か」を確かめてから動きます。求職者はご家族に相談しますし、取引先は社内で話を通します。そのときに見る先が必要になるのは、この3つの場面です。予定がなければ、今は関係ありません。
3つとも当てはまるなら、今日いちばん良い判断は「作らないこと」です。無理に作っても、更新されないページが1枚増えるだけになります。
ただし、条件はいつか変わります。新しい地域からお客様を増やしたくなったとき、人を採りたくなったとき、常連の来店が細ってきたとき。そのときにもう一度、次の章の診断をやり直してください。一度「要らない」と決めたら永久に要らない、という話ではありません。
03取りこぼしの自己診断:スマホで15分
ここがこの記事の中心です。取りこぼしは、他人に判定してもらうものではなく、自分で測れます。お手元のスマートフォンだけで足ります。ひとつだけお願いがあります。できれば、ふだん使っていないブラウザか、シークレットモードで試してください。いつも自分の店を見ている端末だと、自分にだけ都合よく表示されることがあり、初めての人の見え方になりません。
- 「地域名+業種」で検索してみるたとえば「○○市 美容室」「○○駅 ランチ」のように、あなたの店を知らない人が打ちそうな言葉で検索します。地図と一覧が出てきますので、自分の店が出てくるか、出てくるとしたら何番目かを見てください。出てこない場合、ここは新しいお客様の入口が閉じている状態です。この段階で効くのはホームページではなく、無料でできるGoogleビジネスプロフィールの整備です。
- 「店名」で検索してみる次に、店名そのもので検索します。上から順に何が出てくるかを、そのまま書き出してください。地図の情報、インスタ、口コミサイト、他の人がまとめたページ。ここで見ていただきたいのは、いちばん上に出てくるものが、あなたが伝えたい内容になっているかです。古い情報や、他の人が書いた要約が先に出ているなら、初めての人はそれを「あなたの店の説明」として読んでいます。
- 自分のインスタを、初めての人の目で開くプロフィール画面を開いて、3回タップする間に「営業時間・定休日・場所・料金の目安・予約方法」にたどり着けるかを試してください。過去の投稿をさかのぼらないと分からない項目があれば、それが取りこぼしの正体です。とくに「祝日は営業しているのか」「駐車場はあるのか」は、書かれていないことがとても多い項目です。
- 繰り返し聞かれる質問を、3つ書き出すDM・電話・店頭で、同じことを何度も聞かれていませんか。それを3つ書き出してください。これは強い手がかりです。何度も聞かれるということは、聞いてくれなかった人はそのまま帰っているということだからです。聞いてくれた人は氷山の一角で、その下に、聞かずに離れた人がいます。
4つの結果を、次の表に当てはめてください。大事なのは、どの症状も「だからホームページを作りましょう」にはならないということです。次の一手は、症状によって違います。
| 診断の結果 | 意味していること | 次の一手 |
|---|---|---|
| 地域名+業種で出てこない | 新しいお客様の入口が閉じています | Googleビジネスプロフィールの整備(無料)。ホームページより先です |
| 店名で出るが、情報が古い・他の人のページが先 | あなたの店の説明を、あなた以外がしています | まず地図の情報を最新に。それでも足りなければ公式の置き場所を用意します |
| 3タップで基本情報に届かない | 知ってもらえた人が、調べる段階で止まっています | プロフィールと固定表示の整理(無料)。これで解決することが多い項目です |
| 同じ質問を何度も聞かれる | 聞かずに離れた人が、その後ろにいます | その3つを、誰でも見られる場所に固定して置きます |
| 採用・法人・高単価の相談を増やしたい | 相手が確かめる先が必要になります | ここは無料の手段では埋まりにくく、ホームページが効きやすい場面です |
| どれも当てはまらない | いまは取りこぼしが見えていません | 何もしないでください。半年後にもう一度この診断を |
04インスタが苦手なことは、3つだけ
誤解のないように書きますが、これは欠点の話ではありません。設計が違うだけです。人に気づいてもらう力は、ホームページよりずっと強いです。そのうえで、苦手なことが3つあります。
①情報が流れていきます。投稿は新しい順に並びますので、料金は3日前の投稿、営業時間はプロフィール、定休日はストーリーズ、というように散らばります。書いていないのではなく、探せない状態になります。読む側は、探すくらいなら他の店を見ます。
②アプリの外からは見つけてもらいにくいです。アプリの中で探している人には届きますが、地図や検索から「近くの店」を探している人の動線とは別になります。年齢層によって、探し方は分かれます。片方だけを見ていると、もう片方の人がいることに気づけません。
③借りている場所です。これはインスタに限った話ではなく、予約サービスも、地図も、私たちが使うあらゆるサービスに共通する性質です。仕様や規約は運営側の判断で変わることがあり、こちらでは決められません。積み上げたものが自分の管理下にないという点は、頭の隅に置いておく価値があります。だから今すぐ移りましょう、という意味ではありません。1か所に全部を預けているかどうか、という程度の話です。
この3つを裏返すと、ホームページが向いている仕事が見えてきます。変わらない情報を、探さなくても分かる場所に、自分の管理下で置いておくこと。それだけです。逆に言えば、日々の新しい様子を伝える仕事は、これまでどおりインスタのほうが向いています。ホームページがあるのにお客様が来ないという状態は、この役割を取り違えて、ホームページに毎日の発信をさせようとしたときに起こりがちです。
05お金のかからない順番で手をつける
03章の診断で気になる点が出てきたとしても、いきなりホームページに進まないでください。順番があります。前の2つは費用がかかりませんし、これで解決してしまうことが実際にあります。
| 順番 | やること | 費用と時間 | 効きやすい場面 |
|---|---|---|---|
| STEP 1 | 地図の情報(営業時間・定休日・写真・電話・予約リンク)を最新にする | 0円 / 30分程度 | 「地域名+業種」で探している、まだ知らない人に見つけてもらいやすくなります |
| STEP 2 | インスタのプロフィールと固定表示に、基本情報と繰り返し聞かれる3つを置く | 0円 / 30分程度 | すでに知ってくれた人が、調べる段階で止まらずに済みます |
| STEP 3 | 変わらない情報をまとめた、自分の管理下のページを用意する | 費用がかかります(当社の場合は税別50,000円/税込55,000円から) | 採用・法人のお取引・単価の高いご相談。1・2で埋まらなかった場合 |
STEP 3 に進む場合でも、最初から大きく作らないでください。ページ数を増やすほど、更新の手間も費用も増えます。何を残して何を削るかの考え方は、予算内で作るときの範囲の決め方の記事に整理しています。
06作るなら、最初に載せるのはこの5つ
STEP 3 に進むと決めた場合、最初のページに載せるものは多くありません。03章の診断で「止まっていた場所」を埋めるだけです。具体的には次の5つで足ります。
- 営業時間と定休日。とくに祝日にどうなるかを書いてください。書かれていないことがいちばん多く、いちばん聞かれる項目です
- 場所と、行き方と、駐車場。車で来る地域なら、駐車場の有無と台数は来店を左右します
- 料金やメニューの全体像。全部を載せる必要はありません。「だいたいいくらか」が分かれば十分です
- 予約・問い合わせの方法を、ひとつに決めて書く。入口が多いほど親切に見えますが、実際は迷わせます。返事を返しやすい窓口をひとつ選んでください
- どんな店なのかを、3行で。長い挨拶文は読まれません。誰のための店で、何が得意かが分かれば十分です
そして、インスタはやめないでください。この記事は乗り換えの話ではありません。おすすめしているのは、更新の手間を増やさない分け方です。日々の新しい様子はこれまでどおりインスタへ。変わらない情報だけをホームページに置く。こうすると、ホームページ側はほとんど更新が要らなくなります。両方を毎日更新しようとすると、たいてい両方止まります。
ホームページを作る目的は、インスタの代わりになることではありません。調べに来た人を、迷わせないことだけです。
Qよくあるご質問
インスタのフォロワーがまだ少ないのですが、先にホームページを作ったほうがいいですか?
順番としては、フォロワーの数とホームページは切り離して考えてください。フォロワーが少ないことと、ホームページが要ることは、直接つながっていません。フォロワーが少ない状態でホームページを作っても、そのページを見に来る人がいなければ、置いてあるだけになります。先にやっていただきたいのは、この記事の03章の自己診断です。「地域名+業種」で検索したときに自分の店が出てこないのであれば、まず無料でできるGoogleビジネスプロフィールの整備が効きます。ここは費用がかかりません。逆に、すでに知ってもらえてはいるのに、営業時間や料金が分からなくて離れられているようであれば、その受け皿を用意する意味が出てきます。つまり、判断の材料はフォロワー数ではなく、「知ってもらったあとに、判断できる情報があるか」です。数を増やす前に、今来ている人を取りこぼしていないかを見てください。
ホームページを作ったら、インスタはやめてもいいですか?
やめないでください。この記事は「インスタをやめてホームページに移りましょう」という話ではありません。役割がはっきり違います。インスタは、まだあなたの店を知らない人に気づいてもらう場面に向いています。ホームページは、気づいた人が「行こうかどうか」を決める場面に向いています。前半をやめてしまうと、後半だけがあっても、そこに来る人がいなくなります。実際、ホームページを作ったあとに更新が止まり、インスタも止まってしまう、というのがいちばんもったいない形です。おすすめしているのは、更新の手間を増やさない組み合わせ方です。日々の写真や最新の様子はこれまでどおりインスタに投稿し、変わらない情報(営業時間・定休日・場所・駐車場・料金の全体像・予約方法)だけをホームページに置く。この分け方にすると、ホームページ側はほとんど更新が要らなくなります。両方を毎日更新しようとすると続きませんので、続く形にしてください。
無料のホームページ作成サービスや、リンクをまとめるページでは足りませんか?
目的によっては足ります。とくに、プロフィールから飛ばす先として「営業時間・場所・予約方法」をまとめておきたいだけであれば、無料の手段で十分なことがあります。まずそこから始めて何も問題ありません。ただし、確認しておいていただきたい点が3つあります。1つ目は、検索で見つけてもらえる作りになっているかどうかです。サービスによっては、外部の検索から見つかりにくい作りのものがあります。2つ目は、独自のアドレス(ドメイン)が使えるかどうかです。サービス側のアドレスのままだと、あとで引っ越すときに、これまで案内してきたURLがすべて変わります。3つ目は、そのサービスが終了したり内容が変わったりしたときに、中身を持ち出せるかどうかです。無料のものが悪いということではなく、いずれも「あとで動かせるか」の話です。始めるときに、この3つだけ確認しておくと、あとで困りにくくなります。なお、これらの仕様は2026年8月時点のもので、サービスごとに異なります。
ホームページを作れば、検索したときに出てくるようになりますか?
作っただけでは、すぐには出てきません。ここは正直にお伝えしておきたいところです。公開してから検索結果に反映されるまでには時間がかかりますし、「地域名+業種」のような競争のある言葉で見つけてもらえるようになるには、さらに時間と手入れが必要です。作った翌週に順位が変わる、というものではありません。一方で、比較的早く効きやすいのは、店名で検索されたときです。すでにあなたの店を知っている人が名前で調べたときに、公式の情報がまとまったページが出てくる状態は、作りやすい部類に入ります。そして、地図や「近くの○○」から見つけてもらう入口としては、ホームページよりGoogleビジネスプロフィールの整備のほうが先に効きやすいです。ですから、順番としては05章のとおり、無料でできるところから手をつけてください。ホームページは、時間をかけて育てる置き場所だとお考えいただくのが実際に近いです。
+まとめ
持ち帰っていただきたいのは3つです。①判断の基準は「必要か」ではなく「取りこぼしているか」。業種や規模では決まりません ②02章の3条件が全部あてはまるなら、今日は作らないのが良い判断 ③手をつける順番は、無料でできるところから。ホームページは最後で構いません。
①は、作る側に「必要ですか」と聞いても答えが偏る、という構造の話でした。②は、私たちが作る側でありながら「作らなくていい」とお伝えする理由です。更新されないページが1枚増えることに、意味はありません。③は、お金をかける前にできることが2つ残っている、という話です。
最後に、今日できることをひとつだけ。ふだん使っていないブラウザで、「地域名+業種」と、ご自身の店名で検索してみてください。5分で終わります。そこに出てきたものが、あなたの店を知らない人が見ている景色です。読むより早く、いま何が足りていないかが分かります。
それを見たうえで、判断に迷われたときは、ご相談ください。診断の結果、「今は作らなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります。それも含めて、一緒に見させていただきます。
※ 本記事の記載は2026年8月時点のものです。各サービスの画面表示・機能・仕様は変更されることがありますので、実際の操作画面と読み替えてください。また、本記事は特定のサービスの優劣を論じるものではなく、ホームページやその他の手段を用いることで集客・採用の結果が出ることをお約束するものでもありません。