自分の店のホームページを開いたら、アドレスの左に「保護されていない通信」と出ていた。お客様から「開いたら警告が出たけど大丈夫?」と言われた——。ある日突然のように見えて、実は前から出ていた、というケースがほとんどです。
先に結論をお伝えします。この表示はハッキングされたという意味ではありません。原因は3つに切り分けられ、そのうち多くのケースは追加費用なしで直せます。この記事では、3分でできる切り分けと、無料で直せる範囲、そして「誰に何と言えばいいか」までをまとめます。内容は2026年8月時点のものです。
01まず3分で切り分ける。原因は3つしかない
ここを飛ばして「SSL化しましょう」に飛ぶと、直したつもりで直っていない、ということが起きます。スマホでもパソコンでも構いません。自分のホームページを開いて、アドレス欄の先頭を見てください。
パターンA:アドレスが「http://」で始まっている
いちばん多いケースです。ホームページとお客様の端末の間でやりとりされる情報が、暗号化されていない状態を指します。この暗号化の仕組みをSSL(エスエスエル。通信を暗号化して、途中で盗み見られたり書き換えられたりしないようにする仕組み)と呼び、対応するとアドレスが「https://」に変わります。最後の「s」は「安全」を意味する英語の頭文字です。
Googleは2018年2月の公式ブログで、同年7月公開の Chrome 68 からすべての http のページに「保護されていない通信」と表示すると告知しました。さらに同年10月の Chrome 70 からは、httpのページの入力欄に文字を入れると警告が赤くなります(出典:Google Security Blog「A secure web is here to stay」2018年2月8日)。つまりお店側で何かが起きたわけではなく、ブラウザ側の基準が変わった結果です。
パターンB:「https://」なのに警告が出る
SSLには対応済みなのに警告が消えない場合、よくある原因は3つです。①ページの中にhttpのままの画像やプログラムが残っている(業界では「混在コンテンツ」と呼びます)、②証明書の有効期限が切れている、③サーバーの暗号化の規格が古い。いずれもサイト全体をゼロから作り直す話ではなく、部分的な手直しで済むことが多い症状です。
パターンC:自分の見え方だけが違う
意外に多いのがこれです。ホームページ自体はhttps対応済みなのに、ブックマークやチラシのQRコードが古いhttpのURLのままで、そこから開くと警告が出る。あるいは社内Wi-Fiやセキュリティソフトの影響で自分の端末だけ表示が違う。見分け方は簡単で、アドレスを手で「https://」に打ち替えて開き直すだけです。それで鍵マークになるなら、サイトではなく入口の問題です。
切り分けができたら、その結果をメモしておいてください。「トップページのアドレスがhttpのままです」の一言があるだけで、あとで制作会社やサーバー会社に相談するときの往復が一段減ります。
02放っておくと何が起きるか(起きないことも書きます)
この手の記事は不安を煽りがちなので、起きることと起きないことを分けて書きます。
まず起きること。訪問した人のブラウザに警告が出ます。特に問い合わせフォームや予約フォームがある場合、入力しようとした瞬間に赤い警告が出るため、送信をためらわれることがあります。会社概要や採用ページを見た人が「この会社、大丈夫かな」と受け取る可能性もあります。個人情報を扱うページであれば、預かる側として整えておきたい、という話でもあります。
次に起きないこと。この表示が出た=すでに攻撃を受けた、乗っ取られた、という意味ではありません。また、検索結果から消えるわけでもありません。Googleは2014年8月の公式ブログでHTTPSを検索順位の要素の一つとして使うと発表していますが、同じ記事の中で「非常に軽いシグナル」であり、影響を受けるのは全体の1%未満とも説明しています(出典:Google 検索セントラル ブログ「HTTPS as a ranking signal」2014年8月6日)。
「SSLにすれば検索で上位に出ます」という説明を受けたら、一度立ち止まってください。Google自身が軽い要素だと言っている以上、順位を目的にした投資としては説明が過剰です。やる理由は「訪問した人を不安にさせないため」で十分ですし、そのほうが正直です。
03費用の話を先に。多くは追加費用なしで直せます
いちばん知りたいのはここだと思います。SSLの費用は「証明書」と「作業」の2つに分けて考えると、途端に分かりやすくなります。
証明書のほうは、いま契約しているレンタルサーバーが無料SSLを提供していれば、追加費用なしで用意できることが多いです。実際、さくらのレンタルサーバは「無料SSL(Let's Encrypt)を設定したい」、ロリポップ!は「独自SSL(無料)のお申込み・設定方法」として、管理画面から数手順で設定する方法を公式マニュアルで公開しています(各社公式マニュアル・2026年8月時点)。エックスサーバーも無料独自SSLを標準で用意しています。
この「無料SSL」の多くは Let's Encrypt という非営利団体が発行する証明書で、有効期間は90日ですが、レンタルサーバー側で自動更新される仕組みになっているのが一般的です。
「無料で本当に大丈夫か」という不安には、はっきり答えられます。通信を暗号化する仕組みそのものは、無料でも有料でも同じ方式です。違うのは「運営者が実在するかをどこまで審査するか」の段階で、ドメイン認証・企業認証・EVという区分があります(出典:ロリポップ!レンタルサーバー公式メディア「レンタルサーバーのSSL証明書とは?」2026年2月25日)。銀行や大規模なネットショップが上位の証明書を使うのはこの審査のためで、店舗のホームページで無料の証明書を使うことは、手抜きでも危険でもありません。
一方、費用が発生しうるのは「作業」のほうです。ページの中に残ったhttpの記述を直す、httpで来た人をhttpsへ自動で送る設定を入れる、といった手直しです。保守契約に含まれていれば無料、含まれていなければ作業費、という切り分けになります。
| 何にかかるお金か | 実際のところ | 確認する場所 |
|---|---|---|
| SSL証明書(無料枠) | 多くのレンタルサーバーが標準で提供。追加費用なしで使えることが多い | サーバー会社の管理画面・公式マニュアル |
| SSL証明書(有料の上位) | 会社の実在を審査して証明する種類。決済を自社で扱う場合などに検討する | サーバー会社・証明書の販売元 |
| 設定作業 | 証明書の有効化・転送設定。保守契約に含まれることが多い | 制作会社との保守契約書 |
| ページの手直し | 中に残ったhttpの記述の修正。ページ数が多いほど手間は増える | 制作会社の見積もり |
| 毎月の管理費 | SSL単体で毎月の追加費用が発生する構造かは、契約書で要確認 | いま払っている月額の内訳 |
ここまで読んで「毎月払っている料金に、これは含まれているのだろうか」と思われた方は、ホームページの維持費は何に払っているのかの記事もあわせてご覧ください。内訳が分かると、次に何を聞けばいいかが見えてきます。
04直す手順:誰に、何と言えばいいか
ご自身でサーバーを触る必要はありません。大事なのは「どの作業を、誰に頼むか」の交通整理です。順番に進めます。以下は2026年8月時点の一般的な流れで、管理画面の名称は各社で異なります。
- サーバーとドメインの名義を確認する請求書やメールを探して、レンタルサーバーとドメインが自社名義か、制作会社名義かを確かめます。ここが自社名義なら選択肢が広く、制作会社名義なら基本的に依頼する形になります。この確認が、あとの全部を決めます。
- サーバー会社が無料SSLを提供しているか調べるサーバー会社の名前と「無料SSL」で検索すると、公式マニュアルが出てきます。手順が公開されていれば、証明書のお金はかからない可能性が高いということです。ここまでが、依頼前にご自身で分かる範囲です。
- 制作会社・保守担当に、切り分け結果を添えて依頼する「SSLにしてください」だけだと、話が大きくなりがちです。図1で切り分けたパターン(AかBかC)と、確認した名義を添えて依頼します。文面の例は下に置きました。
- 転送の設定も一緒に頼むhttps に対応しただけでは、http のURLも生きたままになることがあります。httpで来た人をhttpsへ自動で送る設定まで含めてお願いしてください。ここが抜けると、直したのに警告が出続けます。
- 完了後、スマホとパソコンの両方で確認するトップページだけでなく、問い合わせフォーム・お知らせ・写真の多いページも開きます。ブラウザの履歴が残っていると古い表示が出ることがあるため、シークレットモード(履歴を残さない表示)で見るのが確実です。
お世話になっております。弊社ホームページを開くと「保護されていない通信」と表示されます。確認したところ、アドレスが「http://」のままでした(※パターンBの場合は「https ですが警告が出ます」)。サーバーは◯◯(サーバー会社名)で、契約名義は弊社/御社です。SSLへの対応と、httpからhttpsへの転送設定をお願いできますでしょうか。あわせて、この作業が保守契約に含まれるか、別途費用が発生するかもお知らせいただけますと助かります。
「SSL化しておきますね」で終わらせない。証明書と作業を、分けて聞く。
05https に変わると、一緒にやることがあります
httpからhttpsへの変更は、ホームページの引っ越しと同じです。住所(URL)が変わるので、あちこちに書いてある住所を書き替える必要があります。転送の設定を入れていれば古い住所からもたどり着けますが、新しい住所に統一しておくほうが確実です。URL変更で何が起きるかはホームページのアドレスを変更するときの記事で詳しくまとめています。
- Googleビジネスプロフィール(マップ)に登録しているホームページのURL
- Instagram・X・Facebook・LINE公式アカウントのプロフィール欄
- 予約サイト・ポータルサイトの店舗ページに載せているURL
- Googleサーチコンソール(検索での見え方を見る無料ツール)の登録。httpとhttpsは別サイト扱いのため、httpsで登録し直す
- 名刺・チラシ・看板・封筒のQRコード(刷り直しは次の発注のタイミングで)
- メールの署名、見積書や請求書のテンプレート
紙のものは、慌てて刷り直さなくて大丈夫です。転送の設定が入っていれば、古いQRコードからでもたどり着けます。次に発注するときに直す、で十分間に合います。ここでお金を使うより、まず転送設定が入っているかを確認するほうが先です。
06「SSL化」を名目にした請求で、損をしないために
ここからは、契約の仕組みの話です。特定の会社を批判する意図はまったくありません。ただ、SSLは「必要なもの」で「専門的に聞こえる」ため、話を大きくしやすい題材ではあります。仕組みを知っておけば、落ち着いて判断できます。
よくあるのは、「SSL対応」という項目が見積もりに入っているものの、証明書代なのか、作業費なのか、毎月の管理費なのかが分からないという状態です。前述のとおり、証明書はサーバーの無料枠で用意できることが多く、費用の中心は作業のほうです。そこが分かれていない見積もりは、高い安い以前に比較ができません。
もうひとつ、SSL対応をきっかけに、サイトの作り直しや長期契約を提案されるケースがあります。それ自体が悪いわけではなく、古いサイトなら作り直しが妥当なこともあります。ただ、判断の順番としては「まず警告を消す」「そのうえで、作り直すかを別途考える」の2段階に分けたほうが、冷静に選べます。見積もりの読み方はホームページの見積もりで確認したい項目の記事にまとめています。
| 言われたこと | そのまま受け取る前に確認したいこと |
|---|---|
| 「SSL対応一式で見積もります」 | 証明書代・設定作業・ページ修正・転送設定のどれが含まれるかを分けて出してもらう |
| 「毎月の管理費に含まれます」 | 今回に限り追加費用が出ないのか、その月額はいつから何のために発生していたのか |
| 「この機会にサイトも作り直しましょう」 | 警告を消すことと作り直しを分けて考える。急ぐ理由が本当にあるか |
| 「SSLにすれば検索で上位に出ます」 | Google自身が「非常に軽いシグナル」と説明している。順位を約束する話ではない |
| 「今すぐ対応しないと危険です」 | この表示は攻撃を受けたという意味ではない。落ち着いて相見積もりを取る時間はある |
そして、そもそも制作会社と連絡が取れない、という段階の方もいらっしゃいます。その場合は制作会社と連絡が取れないときの記事を先にご覧ください。SSL以前に、ドメインとデータを自分の手に戻すところからになります。
xFactory では、ホームページ制作を税別50,000円(税込55,000円)、更新のサポートが必要な場合は月額税別2,000円(税込2,200円)でご案内しています。もちろん、いま出ている警告を消すだけで済むなら、そのほうが早くて安上がりです。無料相談では、まず現状を一緒に確認するところから始めます。作り直しをおすすめするとは限りませんし、売り込みはしません。
FAQよくあるご質問
SSL化には、いくらぐらいかかりますか?
証明書そのものは、いま契約しているレンタルサーバーが無料SSLを提供していれば追加費用なしで用意できることが多いです。さくらのレンタルサーバ・ロリポップ・エックスサーバーなどは、管理画面から無料SSLを設定する手順を公式マニュアルで公開しています。費用が発生しうるのは、証明書ではなく作業のほうです。ページの中に残ったhttpの記述を直す、httpでのアクセスをhttpsへ転送する設定を入れる、といった作業を制作会社に頼む場合で、保守契約に含まれていれば無料、含まれていなければ作業費という扱いになります。まずは契約中のサーバー会社の管理画面と、保守契約の範囲の2つを確認してください。
無料のSSLだと、セキュリティが弱いのではありませんか?
通信を暗号化する仕組みそのものは、無料の証明書でも有料の証明書でも同じ方式が使われます。違うのは「運営者が実在するかをどこまで審査するか」という段階で、ドメイン認証・企業認証・EVという区分があり、有料の上位証明書は審査が厳しいぶん、証明書の中に会社名などの情報が入ります。店舗や小規模事業者のホームページで、クレジットカード情報を自社で預かるような仕組みがないのであれば、無料のドメイン認証で足りることが多いです。判断に迷う場合は、自分のサイトでどんな情報を預かっているかを基準に考えてください。
ホームページを作ってくれた会社と連絡が取れません。どうすればいいですか?
まず、サーバーとドメインが誰の名義で契約されているかを確認してください。自社名義であれば、サーバー会社に直接ログインして無料SSLを設定できる可能性があります。制作会社の名義になっている場合は、こちらから触れる範囲がほとんどないため、名義を自社に移すところから始める必要があります。連絡が取れない相手からデータやドメインをどう取り戻すかは、制作会社と連絡が取れないときの記事で手順をまとめていますので、あわせてご覧ください。
https にすると、いまのアクセスや検索の順位は下がりませんか?
httpからhttpsへはURLが変わる引っ越しにあたるため、転送の設定を入れずに切り替えると、これまでのページが見つからなくなることがあります。逆に言えば、転送の設定を正しく入れておけば、大きく崩れることは通常ありません。作業をお願いするときに、httpのURLをhttpsへ転送する設定も一緒にお願いします、と一言添えてください。なお、Googleは2014年8月の公式ブログでHTTPSを検索順位の要素の一つとして使うと発表していますが、同じ記事の中で「非常に軽いシグナル」であり影響を受けるのは全体の1%未満とも説明しています。順位が上がることを期待して行う作業ではなく、訪問した人を不安にさせないための整備、と考えるのが実態に近いです。
+まとめ
「保護されていない通信」は、放っておくと少しずつお客様を遠ざけますが、慌てて大きな契約をする理由にはなりません。順番に切り分ければ、たいていは手の届く範囲で片づきます。
- まずアドレス欄を見る。http のままか/https なのに出るか/自分の入口が古いだけか
- この表示は「攻撃を受けた」という意味ではない。検索から消えるわけでもない
- 証明書は多くのサーバーで無料枠がある。費用の中心は「作業」のほう
- 依頼は「切り分け結果+名義」を添える。転送設定まで含めてお願いする
- 「SSL対応一式」は分けて見積もってもらう。作り直しの話とは切り離して考える
ホームページは、開いた瞬間の数秒で「ちゃんとしているお店かどうか」を伝えてしまいます。鍵マークひとつですが、その数秒を味方につけておく価値はあります。