01まず結論:ポータルを「やめる」話ではありません
先にいちばん大事なことをお伝えします。ポータルサイト(SUUMO・HOME'S・アットホームなど、複数の会社の物件がまとめて載る大きなサイト)への掲載料が重いと感じても、いきなりやめるのはおすすめしません。いまも多くのお客様が、最初に物件を探す「出会いの場」としてポータルを使っているからです。
この記事でおすすめしたいのは、ポータルで見つけてくれた人が「この会社にしよう」と決めるための“受け皿”を、自社ホームページとして持つことです。受け皿ができると、これまで他社に流れていた問い合わせをつなぎ止められます。そのうえで、自社サイトからの問い合わせが育ってきたら、ポータルへの依存度を少しずつ下げていく。この順番なら、反響を落とさずに毎月のコスト構造を変えていけます。
「反響」とは。不動産業界でよく使う言葉で、お客様からの問い合わせ・来店予約・資料請求のことです。この記事では基本的に「問い合わせ」と言い換えて進めます。
02ポータル頼みが苦しくなる理由と、3つの道具の役割
ポータルサイトは強力な集客手段ですが、そこだけに頼る形には、いくつか構造的な弱さがあります。特定のサービスが悪いという話ではなく、「仕組み上こうなりやすい」という前提で読んでください。
- 掲載料が上がりやすい——同じエリアの会社が同じ枠を取り合うため、目立つには追加の費用がかかりがちです。
- 横並びで比べられる——同じ物件・似た条件が並ぶ画面では、お客様は写真と価格と駅からの距離でしか判断できず、自社の良さが伝わりにくくなります。
- お客様が自社の資産として残りにくい——ポータル経由の接点はあくまでポータル上のもので、「自社のファン」になってもらう関係を築きにくい構造です。
だからこそ、集客の道具を役割で分けて考えるのが有効です。ポータル・Googleマップ・自社ホームページは、お客様を奪い合う相手ではなく役割の違う3つの道具。まずは全体像を図で見てください。
多くの上位記事は「ポータルをやめてSEOで戦おう」と極端に振れがちですが、地域の不動産会社にとって現実的なのは3つを役割で使い分け、いちばん抜けている“受け皿”を先に埋めることです。
03いちばん効くのは「指名検索の受け皿」
受け皿がなぜそんなに大事なのか。理由は、お客様の行動にあります。ポータルで気になる物件を見つけた人の多くは、問い合わせる前にその不動産会社の名前で検索します。「この会社、ちゃんとしてるかな」と確かめたいのです。これを指名検索(会社名で調べること)と呼びます。
このとき、検索しても会社のサイトが出てこない、または古くて情報が薄いと、お客様は不安になり、同じ物件を扱う別の会社に問い合わせてしまうことがあります。せっかくポータルで払った掲載料が、受け皿がないせいで他社の成約に化けてしまう——これはとてももったいない話です。流れを図にしました。
受け皿サイトに載せるべき中身の優先順位
豪華なサイトは要りません。指名検索してきた人の不安を消すために、次の順番でそろえていくのが効果的です。
- スタッフの顔と人柄不動産取引は金額が大きく、最後に選ばれるのは「物件」ではなく「人」です。顔写真・担当エリア・ひとことプロフィールがあるだけで、来店前の安心感が大きく変わります。
- エリアの得意分野(地元の専門性)「○○駅周辺の賃貸に強い」「この学区の戸建てなら任せて」など、ポータルにない地元目線の情報。ここが大手との唯一の差別化ポイントになります。
- お客様の声・成約の事例実際に契約した方の一言があると、サービスの質が伝わります。掲載には本人の同意を取り、個人が特定されない配慮を添えましょう。
- 問い合わせの入口をわかりやすく電話・フォーム・LINEなど、お客様が好きな方法で連絡できるように。フォームは項目を最小限にし、スマホで1タップで完了する形が理想です。
「オウンドメディア」って?横文字でよく出てきますが、要は自社で持つサイトやブログのこと。この記事でいう「受け皿サイト」とほぼ同じ意味だと思ってください。
04受け皿に人を集める、無料の土台から
受け皿サイトができたら、次はそこに人を呼びます。ここでも、いきなり広告費をかける必要はありません。無料でできる土台から順番に整えるのがコツです。
①Googleビジネスプロフィール(地図の入口)を整える
Googleビジネスプロフィールは、Googleマップやお店の検索結果に表示される無料の店舗情報です。「近くの不動産屋」で探す地元のお客様に見つけてもらう入口になります。住所・営業時間・写真・サイトへのリンクを正しく整え、口コミには丁寧に返信する。これだけで地図での見つかりやすさが育っていきます(2026年7月時点)。詳しい進め方はMEO対策(地図で見つかる準備)を自分でやる記事にまとめています。
②地元の「細かい条件の検索」に答える
「渋谷区 賃貸」のような大きな言葉は、大手ポータルがほぼ独占しているため、地域の会社が正面から狙うのは現実的ではありません。代わりに効くのが、ロングテール(=しっぽの長い、数は少ないが具体的な検索)と呼ばれる細かい言葉です。
- 「○○駅 ペット可 デザイナーズ 1LDK」のような、条件を組み合わせた検索
- 「○○小学校の学区で戸建てを探すときの注意点」のような、地元ならではの悩み解決
- 「○○エリアの住みやすさ・治安・買い物事情」のような、街の暮らしの情報
こうした言葉で調べる人は希望がはっきりしているため、問い合わせにつながりやすいのが特徴です。数は少なくても、質の高い出会いになります。順位を保証することは誰にもできませんが、地元の情報を積み重ねるほど見つけてもらいやすくなります。
③口コミ・SNSは「受け皿」への案内役に
Googleの口コミやInstagramは、それ単体で完結させるより、受け皿サイトへの案内役と考えると効きます。物件の雰囲気や街歩きの様子を発信し、詳しくはサイトへ、という導線です。口コミを増やすときの正しい進め方(見返りを渡さない・全員に公平に、など)はGoogleの口コミを増やす方法の記事をご覧ください。
05不動産の広告で、特に気をつけること
自社サイトは自分たちで自由に書けるぶん、不動産ならではの広告ルールを守る責任も自分たちにあります。ここは信頼に直結するので、正直に押さえておきましょう。不動産広告には宅地建物取引業法(宅建業法)や景品表示法などのルールがあります(2026年7月時点)。代表的な注意点は次のとおりです。
| 気をつけること | 具体的にどういうこと |
|---|---|
| おとり広告をしない | 実際には契約できない物件(すでに成約済みなど)を載せて、お客様を呼び込むのはNG。成約した物件は速やかに掲載を取り下げます。 |
| 実際より良く見せない | 家賃・初期費用・面積・駅からの距離などを、事実と違う形で有利に見せるのはNG。「徒歩○分」なども決められた基準で表示します。 |
| 根拠のない断定を避ける | 「地域最安」「必ず見つかる」など、裏づけのない言い切りは避けます。誇大な表現は景品表示法に触れるおそれがあります。 |
| 必要な表示を省かない | 取引の種別(仲介か貸主かなど)や免許番号など、法律で決められた表示を正しく載せます。 |
もうひとつ、集客の相談でよく聞かれるのが費用の話です。ネット上には「1件の問い合わせに○○円」「サイト制作は○○万円が相場」といった数字があふれていますが、条件次第で大きく変わるため、相場をうのみにするのはおすすめしません。大切なのは、初期費用と毎月の費用を合わせた「数年分の総額」で、いまのポータル掲載料や広告費と自分で比べてみることです。数字を出されたら「これは何が含まれた金額か」を確認する。この視点があるだけで、無理な契約を避けられます。
06自分でやるか、任せるか
ここまでの多くは、お店ご自身の手で、無料または低コストで始められます。ただ「やればできる」と「営業しながら続けられる」は別の話。整理すると次のとおりです。
| 項目 | 自分でできること | 時間・手間がかかること |
|---|---|---|
| Googleマップ整備 | 店舗情報の登録・写真追加・口コミ返信 | 毎週の更新と返信を続けること |
| 受け皿サイト | スタッフ紹介やお客様の声の文章を用意 | 見やすく組み立て、スマホ対応まで整えること |
| 地元の情報発信 | 街や物件の記事を書く | 月に数本のペースで書き続けること |
| 広告ルールの順守 | おとり広告や誇大表現をしない | 掲載内容を定期的に社内で点検すること |
まずはご自身で数ヶ月続けてみて、「手が回らない」と感じたら外部に任せるのが健全な順番です。その際は、順位や反響を保証すると言ってこないか・毎月の作業内容を報告してくれるかを、業者選びの基準にしてください。「必ず1位」「問い合わせ○件保証」とうたう提案には、まず立ち止まりましょう。
xFactory では、その「受け皿」となるホームページを税別50,000円(税込55,000円)から、公開後の更新サポートを月額 税別2,000円(税込2,200円)でご案内しています。AIと仕組みを使って、地域のお店が続けやすい形で。安さのからくりや、5万円でどこまでできるかは格安ホームページのからくりの記事・5万円でできること・できないことの記事でも正直にお話ししています。
ポータルは「出会いの場」、自社サイトは「選ばれる受け皿」。やめるのではなく、抜けている受け皿から埋めていく。
FAQよくあるご質問
ポータルサイトへの掲載は、やめてしまってもいいのでしょうか?
いきなりやめることはおすすめしません。SUUMOやHOME'S、アットホームといったポータルサイトは、いまも多くのお客様が最初に物件を探す「出会いの場」として機能しています。この記事でお伝えしたいのは「ポータルをやめる」ことではなく、ポータルで見つけてくれた人が会社名で調べたときに安心できる“受け皿サイト”を用意して、少しずつポータルへの依存度を下げていく、という順番です。まず自社サイトという足場をつくり、そこからの問い合わせが育ってきた段階で、ポータルの掲載枠や広告費を見直すのが無理のない進め方です。
自社ホームページを作れば、すぐに問い合わせは増えますか?
作った翌日から反響が急に増える、という性質のものではありません。検索やGoogleマップで見つけてもらえるようになるまでには、情報を整えて少しずつ育てる時間がかかります(2026年7月時点のGoogleの一般的な仕組みとして)。一方で、ポータルで物件を見た人が会社名で調べたときの「受け皿」としては、公開したその日から役立ちます。スタッフの顔やエリアの得意分野、お客様の声がきちんと載っていれば、他社に流れかけた問い合わせをその場でつなぎ止められます。まずは受け皿としての価値から立ち上がると考えてください。
「地域名+賃貸」で検索上位に出せますか?
「渋谷区 賃貸」のような検索回数の多い言葉は、大手ポータルサイトが上位をほぼ占めているため、地域の不動産会社が正面から上位を狙うのは現実的ではありません。その代わりに効くのが、「○○駅 ペット可 デザイナーズ」のような、いくつかの条件を組み合わせた細かい検索(ロングテール=しっぽの長い、数は少ないが具体的な検索)です。こうした言葉で調べる人は希望がはっきりしているぶん、問い合わせにつながりやすいのが特徴です。順位を保証することは誰にもできませんが、地元の細かい情報を積み重ねるほど見つけてもらいやすくなります(2026年7月時点)。
ホームページに物件情報を載せるとき、気をつけることはありますか?
不動産の広告には、宅地建物取引業法(宅建業法)や景品表示法などのルールがあります。代表的な注意点は、実際には契約できない物件を載せてお客様を呼び込む「おとり広告」をしないこと、家賃や初期費用・面積などを実際より良く見せないこと、「最安」「必ず」といった根拠のない断定を避けることです。また、成約済みの物件は速やかに掲載を取り下げる必要があります(2026年7月時点)。自社サイトは自分たちで自由に書けるぶん、こうしたルールを社内のチェック体制で守ることが、長い目で見た信頼につながります。
+まとめ
ポータル頼みから抜け出すコツは、勢いよく解約することではありません。ポータル=出会いの場、Googleマップ=地元の入口、自社サイト=選ばれる受け皿と役割を分け、いちばん抜けている「受け皿」から埋めていく。会社名で調べた人が安心できるサイトがあるだけで、これまで他社に流れていた問い合わせをつなぎ止められます。
受け皿ができたら、Googleマップと地元の情報発信という無料の土台で人を呼び、宅建業法などのルールを守りながら続けていく。派手なことは要りません。「うちの場合はどこから始めれば?」という段階のご相談も歓迎です。売り込みはしません。