01結論、スマホだけで作れます。差がつくのは「撮る前」

お店のショート動画は、スマホ1台で十分につくれます。カメラも編集ソフトも要りません。ここは安心してください。そのうえで、実際にやってみた店主の方からいちばんよく聞くのは「作れたけれど、それだけで終わった」という声です。原因は撮り方ではなく、たいてい撮る前の準備にあります。

まず言葉を整理します。ショート動画とは、スマホの画面いっぱいに縦長で表示される、数十秒ほどの短い動画のこと。Instagramでは「リール」、YouTubeでは「ショート」と呼ばれ、TikTokはサービス全体がこの形です。呼び名は違いますが、縦向きで短いという点は共通しているので、1本つくれば、複数の場所に出せます(2026年8月時点。各アプリの仕様や名称は変わることがあります)。

大事なのは、ショート動画が「入口」であって「受け皿」ではないということです。動画は、まだお店を知らない人の画面に流れていきます。そこで「お、なんだろう」と思ってもらえたとして——次にその人が知りたいのは、どこにあるのか、いくらなのか、いつ開いているのか、です。それを確かめる場所が用意されていないと、興味はそこで止まります。

入口・通り道・受け皿・行動の4段階の図。受け皿が空だと通り道で止まってしまうことを示す 入口 ショート動画 知らない人に届く 通り道 プロフィール 何屋か・どこかが分かる 受け皿 地図・ホームページ 場所・営業時間・料金が分かる 来店・予約・問い合わせ 受け皿が空だと、ここで止まる 「良さそう」で終わり、行き先が分からない
図1:ショート動画は入口です。通り道(プロフィール)と受け皿(地図・ホームページ)がつながって、はじめてご来店につながります。

撮影の技術より先に効くのは、見た人の行き先を用意しておくこと。順番を逆にすると、うまく撮れた動画ほどもったいないことになります。

02撮る前に整える、3つの受け皿

ここは1〜2時間もあれば終わります。しかも、すべて無料でできることです。撮影より先に、この3つを済ませてしまいましょう。

  • プロフィールの1行——「何屋なのか+どの地域か」を最初の一行に。「○○市の小さなパン屋です」で十分です。動画を見た人が最初に開くのがここです
  • Googleビジネスプロフィール——地図に出るお店の情報を、無料で登録・編集できるGoogleの公式サービスです。場所・営業時間・写真がここに入っていれば、動画を見た人がすぐ確かめられます
  • 行き先のリンクを1本——ホームページか予約ページ。プロフィール欄にリンクを置ける場所があるので、そこに1本だけ設定します。複数並べると、かえって迷わせます

Googleビジネスプロフィールの埋め方は自分でできるMEO対策の手順にまとめています。動画とあわせて整えておくと、「動画で知る → 地図で確かめる → 行く」という流れがつながります。

SNSだけに置かない。アカウントは、規約違反の判断や乗っ取りなどで、ある日使えなくなることがあります。そうなったときに、お店の情報がひとつも自分の手元に残らない状態は避けたいところです。地図かホームページのどちらかは、必ず持っておくことをおすすめします。ChatGPTなどのAIにお店を見つけてもらう話でも触れましたが、AIが参照するのも結局はこうした「元の情報」です。

03何を撮るか——ネタは「よく聞かれること」の中にある

撮る前に手が止まる理由のほとんどは「何を撮ればいいか分からない」です。ここは、ひねり出さなくて大丈夫です。お客様から実際によく聞かれることを、そのまま動画にする。これがいちばん続きますし、見る人にとっても知りたい話です。

「毎日聞かれるから、いまさら動画にすることでもない」と感じるかもしれません。ですが、それはもう来てくださった方からの質問です。まだ来ていない人は、同じことを疑問に思ったまま、聞く相手がいない状態にいます。

業種よく聞かれること(=ネタ)動画の形
飲食店「この料理、何が入ってるの?」「予約なしでも入れる?」仕込みや盛り付けの手元+一言
美容室・サロン「このメニューは何が違うの?」「どのくらい持つ?」施術の一部+仕上がりの見せ方
整体・治療院「初回は何をするの?」「痛くない?」受付から施術までの流れを歩いて撮る
工務店・リフォーム「まず何から相談すればいい?」「見積りは無料?」現場のビフォーアフター+説明
教室・スクール「未経験でも大丈夫?」「持ち物は?」教室の雰囲気+よくある質問への回答
小売店「これはどう使うの?」「在庫はある?」商品の使い方を実演で30秒

ネタ帳は、レジ横のメモで十分です。今週聞かれたことを1行ずつ書き足していくだけで、来週撮るものがなくなりません。スタッフの方に頼むときも、「今週お客様に聞かれたことを1本撮って」と伝えるだけで動けます。

1本に詰め込むのは1つの話題だけ。「料理も店内もスタッフも」と欲張ると、結局なにも伝わりません。伝えたいことが2つあるなら、2本に分けたほうが両方伝わります。

04撮り方と編集で気にするのは、3つずつ

ここが「難しそう」と思われるところですが、実際に意識するのは撮影で3つ、編集で3つだけです。それ以上こだわり始めると、1本に何時間もかかって続かなくなります。

撮影:縦・明るさ・音

縦で撮る——スマホを縦に構えるだけです。横向きで撮ると、あとで上下が切れたり、左右に余白が入ったりします。明るさ——照明を買う前に、窓のそばへ。昼間の自然光がいちばん手軽できれいです。逆に、窓を背にすると顔や料理が影になるので、光のほうを向くのがコツです。——声を入れるなら、静かな時間に撮ります。映像が多少粗くても見てもらえますが、声が聞き取りにくいと、そこで見るのをやめられてしまいます。

編集:切る・文字を入れる・音を選ぶ

編集はアプリの中だけで完結します。いらないところを切る(最初と最後のもたつきを削るだけで見やすくなります)、短い文字を入れる(音を出さずに見る人が多いので、一言あるだけで伝わり方が変わります)、音を選ぶ(アプリに用意されている音源から選ぶのが基本です。詳しくは次の章で)。この3つで十分です。

横文字の対訳

動画まわりの説明には横文字が多く出てきます。意味が分かれば身構える必要はありません。

よく見る言葉ふつうの言い方
リール/ショート縦向きの短い動画(呼び名が違うだけで中身はほぼ同じ)
フック最初の一言・つかみ。「見てみようかな」と思わせる冒頭
CTA次にしてほしいことのお願い。「プロフィールから予約できます」など
テロップ画面に出す文字
インサイト何回見られたか等が分かる、アプリ内の集計画面
ウォーターマーク編集アプリのロゴが動画の隅に残ってしまうもの
尺(しゃく)動画の長さ

05撮る前に決めておく「写り込み」と「音楽」のルール

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。撮り方の解説はどこにでもありますが、お店が実際に困るのは、たいてい映り込みと音楽です。しかも、困るのは投稿したあと。先に決めておけば、ほとんど起きません。

お客様が写るとき

お店にとっては何気ない店内の一場面でも、写った方にとっては「いつ、どこにいたか」が公開される情報になります。顔が分かる形で出すなら、SNSに投稿する旨をお伝えして、その場で一言いただく。難しければ、手元だけ・後ろ姿だけ・声だけでも、その場面は十分に伝わります。あとから「消してほしい」と言われる可能性も考えて、すぐ取り下げられる状態にしておくと安心です。

スタッフが写るとき

見落とされがちなのが、辞めたあとの映像をどうするかです。在職中は快く出てくれた方でも、退職後にその動画が残り続けるのは望まないかもしれません。撮る前に「SNSに出しても大丈夫か」「辞めたときは消すか、残すか」を確認して、決めた内容を書き残しておく。この一手間で、あとの気まずさがなくなります。

音楽と、背景の映り込み

音楽は、投稿するアプリに用意されている音源から選ぶのが基本です(2026年8月時点。使える範囲は各サービスの規約で決まっており、変わることがあります)。やりがちなのが、店内で流している曲が入ったまま撮ってしまうこと。撮影中にBGMを止めるか、あとから音を消す前提で撮っておきましょう。同じように、他のお客様の会話、テレビの画面、近くの他店の看板なども、うっかり写り込みやすいものです。

投稿前の判断フロー図。人が写っているか、誰が写っているか、音楽は何かを順に確認して、出す・撮り直す・同意を取るを判断する この映像、出していい? 人が写っている? いいえ はい その人に、一言もらった? お客様・スタッフとも いいえ はい 音楽は、アプリの音源? 店内BGMが入っていないか 出してOK 音楽だけ 確認して出す 同意をもらうか 手元・後ろ姿で 撮り直す
図2:投稿ボタンを押す前の30秒チェック。人・同意・音楽の3点だけ確認すれば、あとで困る事態はかなり防げます。

この判断を毎回ゼロから考えるのは大変なので、お店のルールとして紙1枚にしておくのがおすすめです。

  1. 誰が撮って、誰が確認して出すかを決める
    撮る人と、投稿前に見る人を分けておくと、写り込みの見落としが減ります。ひとりのお店なら「一晩おいてから出す」だけでも効果があります。
  2. 写っていい人・写らないほうがいい場所を書き出す
    スタッフの可否、お客様の席の範囲、写さない場所(レジ画面・予約表・他のお客様の手荷物など)を先に決めます。
  3. 取り下げの窓口を決めておく
    「消してほしい」と言われたとき、誰がどれくらいで対応するか。決めてあれば、慌てずに済みます。

ここに書いたのは、お店で先に決めておくと困りにくい一般的な注意点です。契約や権利について具体的な判断が必要な場面では、弁護士など専門家にご相談ください。

06続け方と、「自分でやる/頼む」の線引き

ショート動画でいちばん難しいのは、撮ることでも編集でもなく、続けることです。営業しながら毎日投稿する計画は、多くの場合どこかで止まってしまいます。

おすすめは、撮る日と出す日を分けるやり方です。お客様の少ない時間に週1回まとめて数本撮り、あとから小分けに投稿する。こうしておくと、忙しい週があっても投稿が途切れません。本数は週1〜2本から始めて、無理なく回せるようになってから増やせば十分です。

大事なのは、うまく撮ることより止まらないこと。3本の傑作より、続く1本です。

そのうえで、全部を自分でやる必要もありません。線引きの目安を整理します。

やることスマホで自分でやれること頼んだほうが早いこと
日々の様子仕込み・施術・現場・商品の実演。等身大の映像はむしろ自分で撮ったほうが伝わります
看板になる1本お店の紹介・サービス説明など、長く使い回す動画。構成から仕上げまで
受け皿づくり地図の登録・プロフィールの整備ホームページ、予約ページの用意
続ける仕組みネタ帳・まとめ撮り・投稿の担当決め撮影ルールの整理、月ごとの見直し

xFactory では、ホームページ制作を税別50,000円(税込55,000円)、公開後の運用サポートを月額 税別2,000円(税込2,200円)でご案内しています。看板になる1本が必要な場合は、PR動画制作を税別80,000円(税込88,000円)〜でお受けしています(いずれも2026年8月時点の料金です)。「日々の投稿は自分たちで、受け皿だけ整えたい」というご相談も歓迎です。無料相談で、お店の状況にあわせて順番を一緒に考えます。

FAQよくあるご質問

スマホ以外に、買ったほうがいいものはありますか?

最初は何も買わなくて大丈夫です。数本つくってみて「続けられそうだ」と思えてから、卓上の小さな三脚をひとつ用意すると、置いたまま撮れるので手ブレと撮り直しが減ります。次に効くのは、声を入れる場合の小型マイクです。映像が多少粗くても見てもらえますが、声が聞き取りにくいと途中でやめられてしまうためです。照明はいちばん後回しで構いません。窓のそばで昼間に撮るほうが、機材を足すより手軽で見栄えがします。

何本くらい、どのくらいの頻度で出せばいいですか?

本数の正解はありませんが、営業をしながら毎日投稿する計画は続かないことがほとんどです。週1〜2本を数か月続けられるリズムを先に決めて、そこから増やすかどうかを考えるほうが現実的です。おすすめは、お客様の少ない時間帯に週1回まとめて数本撮りためて、あとから小分けに投稿する方法です。撮る日と出す日を分けておくと、忙しい週でも投稿が途切れません。

お客様の顔が映ってしまった動画は、そのまま投稿してもいいですか?

そのまま出すのは避けてください。ご本人にSNSへ投稿する旨をお伝えして同意をいただくか、顔が分からない形(手元だけ、後ろ姿だけ、声だけ)に編集し直すのが安全です。お店にとっては何気ない一場面でも、写った方にとっては「いつ、どこにいたか」が知られてしまう情報になります。同意をいただいた場合も、あとで取り下げを求められたら速やかに消せるようにしておくと安心です。判断に迷う内容は、投稿前に専門家にご相談ください。

ショート動画をやれば、ホームページはいらなくなりますか?

役割が違うので、置き換えにはなりません。ショート動画は、まだお店を知らない人に届く「入口」です。一方で、場所・営業時間・料金・メニュー・予約方法といった、行くと決めた人が確かめたい情報は、動画では探せません。動画を見て気になった人が最後に確認する場所として、Googleビジネスプロフィールかホームページのどちらかは用意しておくことをおすすめします。また、SNSのアカウントは規約違反の判断などで使えなくなることがあり、その場合に何も残らない状態は避けたいところです。

まとめ

ショート動画は、スマホ1台で始められます。ただし、うまく撮ることが目的ではありません。行き先を用意して、聞かれることを撮って、写り込みと音楽のルールを決めて、止まらない本数で続ける。この順番で進めるだけで、動画が「作って終わり」になりにくくなります。

最初の1本は、今週お客様から聞かれたことを1つ選んで、窓のそばで縦に構えて話すだけで構いません。整えてから出すのではなく、出しながら整えていくほうが、結局は早く形になります。

xFactory 編集部
ローカル業者の「つくる」を、手の届く価格に。現場で効くノウハウをお届けします。