「EPARK、やめたほうがいいのかな」。整骨院・整体院・リラクゼーションサロンを営んでいる方から、この相談をいただくことがあります。ただ、調べ始めるとすぐに行き詰まります。検索して出てくる解約の手順が、自分の状況と噛み合わないからです。
理由ははっきりしています。「EPARKをやめたい」という一言のなかに、まったく別の4つの話が混ざっているからです。しかも掲載料は公式に金額が公開されていないため、ネットの「相場」を読んでも自院の判断材料にはなりません。
この記事では、まず4つを切り分けてから、契約書のどこを見て、何をもとに「続ける・見直す・やめる」を決めるかを順に整理します。EPARKというサービスの良し悪しを判定する記事ではなく、契約の仕組みを読み解くための記事です。記載はすべて2026年8月時点の情報にもとづいています。
01「EPARKをやめたい」は4つに分かれる
EPARKは、飲食店・病院・薬局・接骨院・リラクゼーションなど多くの業種にまたがるサービス群の総称です。そのため店舗側が「解約」と言うとき、実際には次の4つのどれかを指しています。この切り分けをせずに手続きを調べると、まず間違いなく遠回りになります。
とくに紛らわしいのがA と B の違いです。「EPARK 退会」で検索すると、公式のよくある質問として利用者(患者さん側)がアプリのアカウントを削除する手順が上位に出てきます。これは店舗の掲載をやめる手続きではありません。手順どおりに進めても、掲載も請求も止まりません。
そして実務でいちばん重いのが C の「予約管理システムの契約」です。掲載そのものとは別の契約になっていることがあり、最低契約期間や自動更新の条件が定められている場合があります。ここを確認しないまま「解約します」と伝えると、想定していなかった費用の話が後から出てくることになります。
最初にやること。直近3か月の請求書(または引き落とし明細)と、契約時の申込書・利用規約の控えを机に並べてください。この記事の残りは、その紙を見ながら読むと一気に具体的になります。控えが手元にない場合は、担当者に「契約書と利用規約の写しをください」と依頼するところがスタートです。
02掲載料が公開されていない、という前提
EPARKの費用を調べようとすると、必ず壁に当たります。公式サイトに料金が載っていないのです。これは情報を探し損ねているのではなく、そもそも公開していない、という説明が公式に出ています。
EPARKの法人向けサイトでは、システムの導入費用(初期費用・月額利用料)や掲載料金をサイト内に表記していない旨が案内されています。理由についても、業種ごとに必要な機能や用途が異なり、業種ごとに個別の販売会社が導入後のサポートを含めた見積もりを提示しているため、全業種向けの一律の料金表示はしていない、という趣旨の説明が示されています(出典:EPARK公式サイト・2026年8月時点)。掲載料についても、業種やプランによって無料から有償まで幅があるため各業種の問い合わせ窓口へ、と案内されています。
ここから導かれる結論はひとつです。
ネットで見かける「EPARKの相場はおおよそ○%」は、すべて第三者の推定。
あなたの判断材料になるのは、あなたの見積書だけです。
実際、外部の解説記事で見かける金額のレンジは、その記事自身が「公開情報と利用者の報告から見える目安」と断っていることが少なくありません。悪意があるわけではなく、公開されていない以上そう書くしかないのです。ただ、推定値を自院の損得計算に持ち込むと、判断を間違えます。エリア・業種・契約時期・プランで条件が変わるからです。
これは「隠している」という話ではありません。個別見積もりの形をとるサービスは珍しくなく、住宅リフォームや業務用機器でも一般的です。読者側で必要なのは、良し悪しの判定ではなく「公開されていないなら、自分の手元の書類を読む以外に正解はない」と割り切ることです。次章がその読み方になります。
03見積書・契約書のどこを見るか(7項目)
金額の大小より先に、費用がどういう構造で発生しているかを押さえます。ポータル系サービスの費用は、たいてい「毎月固定でかかるもの」と「使った分だけかかるもの」の組み合わせです。次の7項目を、手元の書類から順に拾い出してください。
| 確認する項目 | どこに書いてあるか | なぜ効くか |
|---|---|---|
| ①初期費用 | 申込書・見積書の一番上 | キャンペーンで無料になっている場合、その条件(最低利用期間など)が別に付いていることがある |
| ②月額の固定費 | 見積書の内訳/毎月の請求明細 | 予約がゼロの月でも出ていくお金。ここが損益分岐の土台になる |
| ③1件あたりの課金 | 見積書の「送客手数料」「予約手数料」等の欄 | 新規と再来で単価が違う設計のことがある。どちらがいくらかを分けて確認する |
| ④キャンセル時の扱い | 利用規約の課金・料金に関する条項 | 予約が入った時点で課金され、来院キャンセルでも返らない設計かどうか。実質コストが変わる |
| ⑤最低契約期間 | 申込書の契約期間欄/規約 | 「いつからいつまで」が全ての起点。ここを知らずに解約を申し出ると話が噛み合わない |
| ⑥自動更新と解約予告の期限 | 規約の契約期間・更新の条項 | 「更新日の○か月前までに書面で」という条件が典型。1日過ぎると1期間分伸びる |
| ⑦中途解約時の精算方法 | 規約の解約・違約金の条項 | 残期間分を支払う形か、別途の算定式か。「違約金」という語を使っていない場合もあるので条項本文で読む |
7項目のうち④⑥⑦は、口コミやまとめ記事では絶対に確定できません。契約時期やプランで異なるためです。書類を読んで分からなければ、担当者に「この条項は自院の場合どう適用されますか」と条項を指定して聞くのがいちばん早く、認識のずれも残りません。
電話で聞いた内容は、メールでも残す。「解約の予告期限は◯月◯日、その場合の精算は△△という理解で合っていますか」と一文だけ送って返信をもらっておくと、後から食い違ったときに双方が助かります。相手を疑うためではなく、担当者が変わっても話が続くようにするためです。
04手続きで詰まりやすい3か所
7項目を押さえたうえで、実際に手続きに入ります。相談を受けていて、つまずくポイントはだいたい決まっています。
- 「言った日」ではなく「更新日」で決まる解約の効力は、申し出た日ではなく契約期間の区切り(更新日)を基準に決まるのが一般的です。まず自院の更新日を確定させ、そこから逆算して「いつまでに伝える必要があるか」を出してください。ここが分かると、あとの判断が全部シンプルになります。
- 伝える相手と方法が指定されていることがある「担当営業に口頭で伝えた」で完了にならず、所定の書面やフォームでの申し出が必要な場合があります。規約の解約手続きに関する条項に、宛先・方法・様式が書かれていないかを確認してください。方法が違うと、伝えたつもりでも期限に間に合っていない扱いになり得ます。
- 掲載を止めても、別契約が残ることがある図1のBとCは別の契約になっている場合があります。掲載だけ止めて予約管理システムの契約が残っていれば、当然その分の請求は続きます。手続き後、翌月・翌々月の請求明細を必ず見て、想定どおりの金額になっているかを確認してください。止まっていなければ、そこで気づけます。
なお、掲載をやめるとそのページに紐づいていた口コミや予約履歴が自院から見えなくなることがあります。手続きの前に、予約履歴・患者さんの連絡先など自院で持てるデータを書き出し、いただいた口コミもスクリーンショットで残しておくと、後々の財産になります。
05「高い」ではなく、自院の数字で決める
ここまでが手続きの話です。ただ、本当に決めたいのは「やめるべきか」でしょう。判断を手数料の高さそのものでしないことをおすすめします。同じ金額でも、客単価と通院回数によって意味がまったく変わるからです。
見るべき数字はひとつです。
1人の新規に、いくらかかったか。
(月額の固定費 + その月の成果報酬の合計)÷ その月のポータル経由の新規人数
これを、その新規の方が最終的にもたらす金額(客単価 × 通う回数)と比べます。初回の施術料だけと比べると、たいてい「高い」に見えます。ですが、その方が数回通ってくださるなら評価は変わります。逆に、初回だけで来なくなる方が大半なら、金額が小さくても割に合っていないことになります。
| 状況 | 読み取り | おすすめの動き |
|---|---|---|
| 新規は来ている。再来にもつながっている | 新規の入口として機能している | 続ける。ただし再来の予約はポータル経由でなく自院で受ける導線に切り替え、成果報酬の重複を減らす |
| 新規は来るが、ほぼ初回で終わる | 入口ではなく「割引目当ての単発」になっている可能性 | 見直す。やめる前に初回体験の内容と次回のご案内の仕方を先に変えて、1〜2か月様子を見る |
| そもそもポータル経由の新規がほとんどない | 固定費だけが出ていっている状態 | やめる方向で検討。ただし更新日と予告期限を確認したうえで、次章の足場づくりと並行して進める |
| 数字が分からない・追えていない | 判断の材料が無い | まず1か月だけ記録する。来院時に「何を見てお越しになりましたか」と聞いて紙に正の字を書くだけで足ります |
4段目に当てはまる方は少なくありません。そしてここが一番もったいない状態です。1か月の記録で判断の土台ができるので、解約の手続きを調べるより先に、そちらから始めることをおすすめします。
ポータルが悪い、という話ではありません。知らない土地で治療院を探す人にとって、比較できる場所があるのは価値です。問題になるのは「入口として使う」つもりが「入口も再来もずっと通す」状態になったときだけ。役割を決めて使えば、共存できます。
06やめる前に、受け皿をつくる
やめると決めた場合でも、手続きの前に受け皿をつくるのが安全です。掲載を止めた瞬間から、そこ経由の新規はゼロになります。代わりの導線が育つには時間がかかるので、順番を逆にすると落ち込みを丸ごと被ることになります。
1か月目:Googleビジネスプロフィールを整える
Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップや検索結果に出る店舗情報を自分で登録・編集できる無料のサービスです。「地域名+整骨院」で探している方に届く入口で、費用はかかりません。院名・住所・営業時間・写真・施術メニューを埋め、口コミには丁寧に返信する。ここはMEO対策を自分でやる手順にまとめてあります。
口コミの集め方には線引きがあります。施術後に「よろしければ感想をお聞かせください」とお声がけするのは問題ありません。一方で、割引やプレゼントと引き換えに口コミを依頼したり、スタッフや業者が投稿したりすることは、Googleのポリシーで禁じられています。短期的にも長期的にも損をするので、行わないでください。
2か月目:自院のホームページで不安をなくす
地図から見つけてもらえても、そこで判断材料がなければ予約には進みません。料金がはっきり書いてあること、自分の症状が扱われているか分かること、予約方法が明確なこと——治療院の場合、この3つで迷いのほとんどが解けます。初めての来院につながるホームページの整え方で具体的に触れています。
xFactory のホームページ制作は税別50,000円(税込55,000円)、公開後の運用サポートは月額 税別2,000円(税込2,200円)です(2026年8月時点)。ポータルの月額を見直すのとあわせて検討される方が多い価格帯です。
3か月目:来てくださった方と、つながっておく
負担の軽い集客は、一度来てくださった方にもう一度来ていただくことです。会計時にその場で次回の予約を取る、LINEでつながって施術の間隔をお知らせする。ここが回り始めると、新規のためのコストの重さが変わってきます。ポータルを使い続ける場合でも、再来を自院の予約で受ける形にできれば、成果報酬の重複を減らしやすくなります。
同じ考え方は他のポータルにも当てはまります。整体・整骨院向けではエキテンの解約と掲載料の記事も、契約タイプごとの手続きという点で共通しています。
FAQよくあるご質問
EPARKの掲載料はいくらですか?
一律の金額は公表されていません。EPARKの公式サイトでは、導入費用や掲載料金をサイト内に表記しておらず、業種ごとに必要な機能や販売会社が異なるため一律の料金表示はしていない、という趣旨が案内されています(2026年8月時点)。そのため、ネット上で見かける「相場」や「目安レンジ」は、あくまで第三者による推定です。自院の正確な金額は、契約時の見積書・申込書・利用規約と、担当者への確認の両方で把握してください。
EPARKは途中で解約できますか?違約金はかかりますか?
契約している中身によって変わります。サイトへの無料掲載だけであれば停止の相談は比較的シンプルですが、予約管理システムなどの有料サービスを契約している場合は、最低契約期間・自動更新・解約予告の期限が定められていることがあり、期間の途中でやめると残りの期間分の費用が発生する形になっているケースがあります。違約金が「ある/ない」を口コミで判断せず、ご自身の契約書と利用規約の該当条項を読み、担当者にも確認してください。2026年8月時点の情報です。
解約したら、これまでの口コミや予約データはどうなりますか?
掲載ページに紐づいた口コミや予約履歴は、掲載をやめると自院から見えなくなることがあります。解約を申し出る前に、予約履歴や患者さんの連絡先など、自院で保有できるデータを手元に書き出しておくことをおすすめします。あわせて、いただいた口コミの内容もスクリーンショットなどで残しておくと、今後の改善やホームページでの紹介に活かせます。データの取り扱いは契約内容によって異なるため、担当者への確認もあわせて行ってください。
ポータルをやめたら、新規のお客様はどこから来ますか?
やめると決めた日にいきなり止めるのではなく、先に受け皿をつくってから比重を下げていくのが安全です。具体的には、Googleビジネスプロフィール(Googleマップに出る無料の店舗情報)を整えて地図から見つけてもらえるようにし、自院のホームページで料金・症状別の説明・予約方法をきちんと伝え、来院された方にLINEや次回予約でつながっておく、という順番です。1〜3か月かけて足場をつくり、ポータル経由の新規がどれくらい減るかを見ながら判断すると、急な落ち込みを避けやすくなります。
+まとめ
EPARKの解約でつまずくのは、情報が足りないからではなく、4つの別々の話が混ざったまま調べているからです。順番を整理すると、やることははっきりします。
- 自分がやめたいのは A会員退会 / B掲載停止 / Cシステム契約 / D成果報酬 のどれかを確定させる
- 料金は公式に公開されていない。ネットの相場ではなく、自院の見積書・契約書を読む
- 7項目のうち、とくに最低契約期間・自動更新・解約予告の期限・中途解約時の精算を条項本文で確認する
- 解約の効力は「言った日」でなく「更新日」基準。そこから逆算して伝える期限を出す
- やめるかどうかは手数料の高さでなく、1人の新規にかかった額 ÷ その方がもたらす額で決める
- 止めるより先に足場をつくる。地図(無料)→ 自院ホームページ → 再来の導線、の順で3か月
ポータルは、使い方を決めて使えば有効な入口です。問題は、気づかないうちに「入口も再来もずっと通す道」になってしまうこと。この記事が、自院にとっての役割を決め直すきっかけになれば幸いです。
「うちの場合、まず何から手をつけるべきか」の段階でも構いません。無料相談で、状況をうかがったうえで一緒に順番を考えます。売り込みはいたしません。