「原稿はお客様のほうでご用意ください」と言われたまま、Wordの白紙が何週間も開きっぱなし——。ホームページの制作がいちばん止まりやすいのが、この原稿づくりの段階です。

先にお伝えすると、ここで止まる原因は文章が下手なことではありません。ほとんどの場合、「どのページに、何の項目を、どれくらい書くか」が決まっていないだけです。項目さえ決まれば、書くことは手元の材料を当てはめる作業に変わります。

この記事では、店舗や小さな会社のオーナーがひとりで進められるように、ページ別の項目一覧、そのまま埋められる穴埋めシート、いちばん書けない「うちの強み」の取り出し方、そしてAIに下書きさせるときの手順と任せてはいけない線引きまでをまとめました(2026年9月時点)。

01「書けない」の正体は、文章力ではない

原稿が止まっている状態を分けると、だいたい次の3つのどれかです。同じ「書けない」でも、詰まっている場所が違えば、やることも変わります。

「書けない」の3つのタイプと、それぞれの出口。何を書くか決まっていない場合は項目を決める、材料はあるが文章にできない場合は穴埋めシートに入れる、強みが言葉にならない場合は社外から取ってくる。 つまっている場所 出口(この記事のどこを読むか) A 何を書くか決まらない 白紙を前にして、そもそも手が動かない 03 ページ別の項目表 書く項目と分量を先に決める B 文章の形にできない 言いたいことはあるが、書くと固くなる 04 穴埋めシート 5つの空欄を埋めて文にする C 強みが言葉にならない 「うちの良いところ」で手が止まる 05 社外から取ってくる 自分の中を探しても出てこない ※ A→B→C の順に進むと、手戻りが少なくなります
図1:同じ「書けない」でも、詰まっている場所によって次にやることが変わります。

このうちA(何を書くか決まらない)を飛ばしてB(文章にする)から始めてしまうのが、いちばんよくある回り道です。書いては消し、を繰り返したあげく、結局どのページにも同じようなことが書いてある、という状態になりがちです。

うまい文章より、書いてあるかどうか。料金が載っていない、対応エリアが分からない、連絡先が探しにくい——取りこぼしはたいてい、文章力ではなくこちら側で起きています。

02ゼロから書かない——材料は、もう手元にある

原稿は、白紙から絞り出すものではありません。書く材料は、すでにお店や事務所の中にあります。まずはそれを机の上に集めるところから始めてください。

  • 名刺・登記事項証明書・開業届——正式な社名や屋号の表記、所在地、設立(開業)年。会社概要はここからほぼ埋まります
  • 会社案内・チラシ・メニュー表——すでに誰かに向けて書いた文章です。作り直さず、そのまま材料にします
  • 見積書・料金表——料金ページの素です。「何が含まれるか」もここに書かれています
  • お客様への返信文(メール・LINE・電話のメモ)——最強の材料。すでに自分の言葉で、相手に伝わるように書けています
  • よく聞かれる質問——そのままFAQページになります。5つ思い出せれば十分です
  • SNSの投稿・求人票——雰囲気や働き方を伝える文が、すでに書かれていることがあります

とくに4つ目のお客様への返信文は見落とされがちです。「うちは◯◯までしか対応していなくて、その場合は△△をご案内しています」——こういう説明をすでに何百回もしているはずで、それはもう原稿です。ホームページの文章になると急に「弊社は〜」と固くなってしまうのは、書くときだけ別人になろうとするからです。

手で書けないなら、しゃべって残す

キーボードの前だと手が止まるのに、お客様に聞かれたら3分しゃべれる。これはとても普通のことです。その場合は、スマホの音声入力やボイスメモに向かって、お客様に説明するつもりで話してください。文字にしたものは「えー」「あの」だらけで構いません。整えるのは後の工程で、材料を出す工程では整っている必要がありません。

03ページ別「何を、どれくらい書くか」

材料が集まったら、次は置き場所を決めます。下の表は、店舗や小さな会社のホームページでよく使う構成です。必ず書くことの列だけ埋まっていれば、ページとしては成立します。

ページ必ず書くことあるとよいこと分量の目安
トップ何をしている店・会社か(1行)/誰向けか/主なサービス/連絡先への入口創業年・対応エリア・写真400〜800字
サービス・メニュー何を提供するか/どんな困りごとに応えるか/依頼から完了までの流れ/対応エリア所要時間・準備してもらうもの600〜1,200字
料金金額または価格帯/その金額に何が含まれるか/税込か税別か/支払い方法追加費用が出る条件400〜800字
実績・お客様の声どんな依頼か/何をしたか/どうなったか写真・許諾を得たコメント1件200〜400字
店舗情報・会社概要正式名称/住所/電話/営業時間・定休日/代表者名/設立年駐車場・アクセス・沿革表組みで可
よくある質問実際によく聞かれる質問と答えを5〜10個1問100〜200字
お問い合わせ連絡先/受付時間/返信までの目安相談から依頼までの流れ200〜400字
採用(必要なら)募集職種/仕事の内容/条件/応募方法働く人の紹介・1日の流れ600〜1,200字

分量の数字は業界の相場ではなく、当社でお手伝いするときの目安です。文字数から決めると手が止まるので、あくまで「このくらい書けば足りる」という安心のための数字として見てください。

抜けやすい2つ

たくさんのページを見てきて、いちばん抜けているのがこの2つです。どちらも、あるかないかで問い合わせのしやすさが変わります。

  • 料金に「何が含まれるか」——金額だけ書いてあると、追加でいくらかかるのか分からず、問い合わせる前に離れてしまいます
  • 返信までの目安——「1〜2営業日以内にご返信します」の一行があるだけで、送る側の不安がひとつ減ります

書かなくていいもの(引き算)

逆に、時間をかけたわりに読まれないのがこちらです。書かないと決めるだけで、原稿は半分の労力で終わります。

  • 長い代表挨拶——創業の経緯を語るのは、読み手が「この会社は何をするのか」を理解したあとです
  • 抽象語だけの企業理念——「信頼」「挑戦」「感動」が並ぶページは、業種を入れ替えても成立してしまいます
  • 業界の一般解説——「近年、◯◯業界では〜」は、他社サイトの受け売りになりやすく、読み手も求めていません
  • 「〜に努めております」——努力の宣言は事実ではないので、読んでも判断に使えません

04穴埋めシート——5つの空欄で1ページ分になる

項目が決まったら、いよいよ書きます。といっても文章から入りません。まず次の5つの空欄を、単語や箇条書きのまま埋めてください。1ページにつき1セットです。

  1. ① これは(  )で困っている(  )のためのページです
    例:「雨漏りで困っている、◯◯市の戸建てにお住まいの方」。ここが決まると、以下の4つの言葉づかいが自動的に決まります。ページごとに変わって構いません。
  2. ② うちは(  )をします。だいたい(  )くらいで、(  )までかかります
    やること・金額(または価格帯)・期間の3点。「場合による」で止めず、いちばん多いケースを書いてください。幅で書けば嘘にはなりません。
  3. ③ 他と違うのは(  )です。そう言えるのは(  )だからです
    うしろの「だから」が書けない言葉は、強みではなく気持ちです。ここで詰まったら05へ。空欄のまま次に進んでも構いません。
  4. ④ よく聞かれるのは(  )で、答えは(  )です(3つ)
    思い出す必要はありません。今週かかってきた電話と、送ったLINEを見返してください。そのままFAQになります。
  5. ⑤ 読んだ人にしてほしいのは(  )。そのための連絡先は(  )です
    電話なのか、フォームなのか、LINEなのか。受け取りやすい方法を1つに決めて、ページの上と下の両方に置きます。

埋まったら、あとは文にするだけです。コツは3つしかありません。

  • 結論から書く——読まれるのは最初の1〜2行です。前置きから入ると、そこで閉じられます
  • 1文に1つの意味——読点でつなぎ続けず、短く切ります。声に出して息が続かない文は長すぎます
  • 主語をお客様側に置く——「弊社は◯◯を提供しております」より「◯◯でお困りの方に、△△をご用意しています」

ここまでで、1ページぶんの原稿の骨は立ちます。うまく書けているかどうかは、この段階では判断しないでください。判断は、全ページ埋まってから一度にやるほうが早く終わります。

05いちばん書けない「うちの強み」を社外から取ってくる

穴埋めシートで多くの方が止まるのが③です。事実は書けるのに、「うちの良いところ」だけは自分の言葉にならない。これは自分の中を探しているからで、探す場所を変えると出てきます。

取り出し口は3つ

  • お客様に「なぜうちを選んだのか」を聞く——次に来た常連さんに1つ聞くだけで十分です。自分では当たり前すぎて書かなかったことが返ってきます
  • 断られた理由をひっくり返す——「高い」と言われるなら、その金額に何が入っているのかが強みです。「遠い」なら、出張範囲や日程の融通が強みです
  • 同業3社のサイトを見て、向こうにない項目を探す——文章を真似するのではなく、載っていない情報を探します。料金を出していない、施工事例がない、対応エリアが書いていない。そこが空いています

お客様の言葉をホームページに載せる場合は、必ずご本人に掲載の許可を取ってください。お名前・写真・業種をどこまで出すかも、あわせて確認しておくと後から差し替えずに済みます。

「形容詞」は強みではない

丁寧・安心・高品質・アットホーム。これらは強みではなく感想で、どの同業他社も同じことを書いています。読み手が比べられる形にするには、事実に置き換えます。下は書き換えの型です(◯の部分はご自身の数字に置き換えてください)。

  • 「丁寧な対応を心がけています」→「ご相談から◯営業日以内に、お見積りをお出しします」
  • 「地域密着でやっています」→「◯◯市と隣接する◯市が対応エリアです。夕方のご依頼は翌日に伺えます」
  • 「豊富な経験があります」→「◯◯年から、◯◯工事を専門にしています」
  • 「安心の品質です」→「引き渡し後◯年は、不具合の手直しを無償で承ります」

置き換えたあとの文には、必ず自分で確認できる事実が入っています。そしてここが大事なのですが、事実に置き換えると「書けない」が「書ける」に変わります。感想をひねり出すのは難しくても、日数や年数を思い出すのは難しくないからです。

06AIに下書きさせる手順と、任せてはいけないところ

ここまでの工程は、生成AI(ChatGPTなどの、文章を作れるAI)に手伝ってもらうこともできます。ただしどの工程を任せるかで結果がまるで変わります(2026年9月時点)。

原稿ができるまでの5工程と分担。材料を集める・穴埋めを書く・事実を確認する・公開して直すは人が行い、下書きの文章化だけAIに任せられる。 1 材料を集める 見積書・返信文・料金表 2 穴埋めを書く 04の5つの空欄・箇条書き AIでも可 3 下書きにする 箇条書きを文章の形へ 4 事実を確認する 金額・数字・正式名称 5 公開して、直す 足りない項目は後から追加 4は省略できません 事実を入れるのは、人の仕事です
図2:AIに任せられるのは3の「文章の形にする」工程だけ。材料を出すのも、事実を確かめるのも人がやります。

渡し方の手順

  1. 材料を読ませる
    会社案内、料金表、お客様への返信文。手元の資料をそのまま渡します。白紙から書かせるとどこかで見た当たり障りのない文章が出てくるのは、材料がないからです。
  2. 04の穴埋めを渡す
    埋めた5つの空欄を、箇条書きのまま貼り付けます。これが下書きの設計図になります。
  3. 範囲を区切って指示する
    「渡した材料に書かれていることだけで書いてください。材料にないことは想像で埋めず、【要確認】と書いてください」。この一文があるかないかで、あとの確認作業の量が変わります。
  4. 自分の言葉に直す
    出てきた文を音読して、自分が言わない言い回しを削ります。お客様に説明するときの言葉に近づけるほど、読み手にも伝わります。

任せてはいけないもの

次の項目は、渡した材料に書かれていないと、もっともらしい内容が出てくることがあります。公開前に、必ず自分で確かめてください

  • 金額・料金の条件——税込か税別か、何が含まれるかまで自分で確認します
  • 実績の数字・創業年——「実績◯◯件」は、自分で数えられる根拠があるときだけ書きます
  • 会社・資格の正式名称、許認可の登録番号——1文字違うだけで別のものになります
  • お客様の声——本人が言っていないことを書かせない。これは事実と違う記載になります
  • 他社との比較の断定——「地域で一番」「唯一の」は、根拠を示せないなら書かないのが安全です

もうひとつ、他社のページの文章をコピーして使うのは避けてください。AIが似た言い回しを出してくることもあるので、公開前に一度は自分の目で読み直すことをおすすめします。写真やイラストも同じ考え方で、ホームページに使う写真の権利の記事にまとめています。

自分で書く・たたき台を出す・全部任せる

原稿の進め方は、大きく3つです。正解はなく、出せる時間と、手元に残したいものの違いで選びます。

項目自分で全部書く材料を出して、仕上げてもらう全部任せる
自分が使う時間いちばん多い材料集めと確認の時間ヒアリングと確認の時間
お金追加費用なし見積書の内容による見積書の内容による(原稿作成が別項目のことが多い)
出来上がりの色自分の言葉がそのまま残る自分の材料が、読みやすい形になる読みやすいが、自社らしさは材料の量しだい
止まりやすさ止まりやすい(この記事の状態)比較的止まりにくいヒアリング待ちで止まることがある
向いている場面書くのが苦でない/内容が専門的本業が忙しい/何を書くかは分かっている社内に書ける人がいない

制作を依頼するときは、見積書の項目を確認してください。「原稿支給」とあれば自社で用意する前提、「原稿作成」「ライティング」とあれば依頼できる前提であることが多く、ここの思い違いが制作中の行き違いになります。金額だけでなく、どこまでが含まれるかを、契約の前に聞いておくと安全です。

ちなみに私たちがお手伝いするときは、3つのうち真ん中——材料を出していただいて、こちらで形にする進め方をおすすめしています。お店のことをいちばんよく知っているのはご自身で、その部分は外から補いにくいからです。ホームページ制作は 税別50,000円(税込55,000円)、公開後の運用は月額 税別2,000円(税込2,200円)でご案内しています。

FAQよくあるご質問

ホームページの原稿は、だいたい何文字くらい必要ですか?

ページによりますが、文字数から決めると手が止まります。先に「そのページに載せる項目」を決めてください。項目が決まれば、必要な量は自然に決まります。当社でお手伝いするときは、トップページで400〜800字、サービスや料金のページで600〜1,200字あたりを目安にしていますが、これは業界の相場ではなく、進めやすさのための社内の目安です。短くても、料金・対応範囲・連絡先が読み取れるページのほうが、長くて要点の見えないページより役に立ちます。

文章が苦手です。制作会社に全部任せることはできますか?

対応できる範囲は会社ごとに違うため、見積書の項目でご確認ください。「原稿支給」と書かれていれば自社で用意する前提、「原稿作成」「ライティング」と書かれていれば依頼できる前提であることが多いです。ただし、任せる場合でも、事業の内容・料金・よく聞かれる質問といった材料は自社から出す必要があります。お店や会社のことをいちばんよく知っているのはご自身なので、そこは外から補いにくい部分です。

AIに書かせた文章を、そのまま載せても大丈夫ですか?

下書きとして使い、事実の部分は必ず人が確認してください(2026年9月時点)。金額、実績の数字、会社や資格の正式名称、許認可の登録番号などは、渡した材料に書かれていないと、もっともらしい内容が出てくることがあります。お客様の声も、本人が言っていないことを書かせないでください。また、他社のページと似た言い回しが出ることもあるため、公開前に一度は自分の目で読み直すことをおすすめします。

原稿が完成するまで、ホームページの制作は始められませんか?

始められることが多いです。全ページの原稿がそろうのを待つより、ページの構成と項目を先に決めて、埋まったページから作っていくほうが止まりにくくなります。公開したあとに書き足すこともできます。まずは、問い合わせるかどうかの判断に要る「料金・対応範囲・連絡先」の3点が埋まっているかを優先してください。

まとめ

原稿が書けないのは、文章力の問題ではありません。項目が決まっていないだけです。03の表で何を書くかを決め、02で集めた材料を04の5つの空欄に入れ、③で詰まったら05で社外から取ってくる。この順番で進めると、白紙の前で悩む時間がなくなります。

AIは3番目の「文章の形にする」工程を軽くしてくれますが、材料を出すのも、事実を確かめるのも人の仕事です。そして読み手が見ているのは、文章のうまさより書いてあるかどうか。料金・対応範囲・連絡先の3点が読み取れるページは、それだけで役に立ちます。公開したあとに足りない項目を見つけるための手順は、ホームページを作ったのに集客できない理由にまとめました。

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