「ホームページは無料でも作れるらしい」と聞いて、実際に触ってみた方に向けて書きました。作ってみると、思ったより形になります。そのあとで「このままでいいのだろうか」と引っかかる方が多いところを、制作する側から正直にご説明します。
先に結論を3つ申し上げます。①無料でも公開はできます。看板代わりのページで足りるお店なら、無料のままで構いません。切り替えなければいけない決まりはありません。②ただし、3つのところに線が引かれています。広告、URL、持ち出しの3つです。これは使い方が下手だから当たるのではなく、無料プランの仕組みとして最初からそこにあります。③切り替えるなら、名刺やチラシにURLを刷る前がいちばん安く済みます。
この手の記事はたいてい「無料はやめて有料にしましょう」で終わります。私たちは制作を受注する側の会社なので、同じ結論を書けばそのまま宣伝になります。それでは判断の材料になりませんので、無料のままでいいお店の条件も、同じ分量で書きます。
本記事は2026年9月時点の情報です。特定のサービス名を挙げて優劣をつけることはしません。また、各サービスの料金・容量・使える機能は改定が早く、記事に書いた数字はすぐ古くなりますので、具体的な条件は本文に書かず、ご利用中(または検討中)のサービスの公式ページでご確認いただく形にしています。ここで扱うのは「無料プランはなぜ無料なのか」という仕組みと、そこから必ず出てくる制約です。無料の作成サービスを否定する意図はありません。
01なぜ、無料で使えるのか
まず、ここが分かると残りが全部つながります。無料でホームページを作れるサービスは、慈善事業ではありません。無料で使ってもらいながら、収入を得る形が2つ用意されています。
ひとつは、作ったページに、提供元の広告やロゴが出ること。無料で場所を貸す代わりに、そこがお知らせの場所になっています。もうひとつは、制限を外したくなった人が有料プランに上がること。無料プランのあちこちにある「ここから先は有料です」という線は、ここに効いています。
つまり、「なぜ広告が消せないのか」「なぜ自分のURLが使えないのか」は、不便な仕様なのではなく、無料が成り立つための仕組みだということです。ずるい話ではありません。ただ、この構造を知らないまま「無料で全部できる」と思って進むと、あとで足が止まります。
ですので、選ぶときに見るべきは「どの無料サービスが一番いいか」ではなく「自分の使い方が、線の内側に収まっているか」です。
02お店が困り始める4つの線
実際にご相談をいただくのは、次の4つのどれかに当たったときです。順番に見ていきます。
線1:広告やロゴが、自分では消せない
ページのどこかに、提供元の広告やロゴが表示されます。どんな内容が出るかは、こちらでは選べません。お店の雰囲気を伝えたいページに、関係のないものが並ぶことがあります。
これが問題になるかどうかは、商売の形によります。ご紹介と常連さんで回っているお店なら、ほとんど影響がありません。一方、初めての方に信頼していただくところから始まる商売——士業、修理、治療院、工事など——では、気になりやすいところです。
線2:URLが、自分のものにならない
無料プランでは、サービス名が入った長いURLになるのが一般的です。これがいちばん、あとで効いてきます。
理由は見た目ではありません。URLを紙に刷ったあとで変えると、刷り直しになるからです。名刺、チラシ、看板、車のマグネット、封筒。さらに、お客様のブックマーク、他のサイトからのリンク、SNSの紹介文。これらは自動では新しいURLに付いてきません。無料プランでは、前のURLから新しいURLへ自動で送る設定が用意されていないことも多いです。
線3:作ったものを、持ち出せないことがある
作ったページは、そのサービスの中の仕組みで組み立てられています。そのままの形で別の場所へ移せないことが多いため、あとから引っ越すときは、写真と文章を手作業で移して作り直しになるのがふつうです。
ここで申し上げたいのは、写真と文章の原本は、必ずご自分の手元にも置いておいてくださいということです。パソコンのフォルダでも、スマートフォンのアルバムでも構いません。サービスの中にしかない状態にしないでおく。これだけで、いざというときの手間がまったく変わります。
線4:サービスが、終わることがある
無料のサービスは、提供元の判断で内容が変わったり、終了したりすることがあります。実際の例として、Yahoo! JAPANのホームページ作成サービス「Yahoo!ジオシティーズ」は2018年10月1日に終了が発表され、2019年3月31日でページの表示が終了しました(当時の報道による)。1990年代から続いた大きなサービスでした。
無料が危ないという話ではありません。無料だからこそ、採算の判断で畳まれることがあるという構造の話です。線3の備え——原本を手元に持つ——が、そのまま線4の備えになります。
ひとつ、よく見かける説明を補足させてください。「無料ツールで作ると検索に弱い」と書かれていることがありますが、使っている作成ツールの名前そのもので順位が決まる、という案内をGoogleは出していません。公開されているガイダンスは、ページの内容が検索した人の役に立つかどうかについてのものです。無料プランで不利になりやすいのは、検索向けの細かな設定を触れないことと、あとでURLを変えたときに、それまでの評価やリンクを引き継げないこと——つまり線2のほうです。ツールが無料であること自体が原因ではありません。(2026年9月時点)
無料の線は、使い方が下手だから当たるのではありません。最初から、そこに引かれています。
03それでも、無料のままでいいお店
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。次の3つのどれかに当てはまるなら、いま切り替える理由はありません。
- 名前で検索された人が見る「看板」として使っている 新しいお客様はGoogleマップとご紹介から来ていて、ページは営業時間・場所・電話番号が分かればいい。この使い方なら、無料の線に当たりません
- まだ、何をどう売るか決まっていない 始めたばかりで、1年以内に扱うものや見せ方が変わりそうな段階。形が決まる前にお金をかけると、決まったときにもう一度かかります
- 既存のお客様向けのお知らせ置き場として使っている URLは口頭やLINEでお渡しし、印刷物には刷っていない。これなら、あとで変えるときの損も小さく済みます
逆に言えば、切り替えを考えたほうがいいのは「新しいお客様に、初めて見てもらうページ」として使い始めたときです。SNSだけで足りるかどうかで迷っておられる方は、インスタだけでホームページはいらない?もあわせてご覧ください。
| ページの使い方 | 無料のままでよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 名前で検索された人が見る看板 | そのままで構いません | 営業時間・場所・電話が分かれば役目を果たします |
| お知らせ・休業案内の置き場 | そのままで構いません | URLを紙に刷らないなら、変えるときの損が小さい |
| 始めたばかりで、内容が固まっていない | しばらく様子見で | 形が決まってから作るほうが、結果的に安く済みます |
| 名刺・チラシ・看板にURLを載せたい | 切り替えどきです | 刷ったあとに変えると、刷り直しになります |
| 検索から新しいお客様に来てほしい | 切り替えどきです | URLが自分のものでないと、評価を引き継げません |
| 信頼が入口の商売(士業・修理・治療院など) | 切り替えを検討 | 広告表示が、初めての方の印象に影響しやすい |
04ホームページより先に、無料で効くもの
意外と書かれていないのですが、お金をかける順番でいうと、ホームページより先にやっておきたい無料のものがあります。Googleビジネスプロフィールです。
Googleマップやgoogle検索に出てくる、あのお店の情報欄のことです。Googleビジネスプロフィール ヘルプの案内では、ビジネスプロフィールの作成・管理は無料と説明されています(2026年9月時点)。営業時間、写真、電話番号、道順、クチコミ。「この辺で○○」と探している人が、いちばん最初に見る場所がここです。
ホームページを有料にするより先に、ここを埋めておくほうが、かける手間に対して届く人数が多くなりやすいところです。しかも無料のまま、ずっと使えます。手順はMEO対策を自分でやる手順にまとめました。
ただし、これは「ホームページは要らない」という話ではありません。地図の情報欄は載せられる形が決まっていて、こだわりや選ばれる理由、料金の考え方、施工例やメニューの詳しい説明までは置ききれません。地図で見つけてもらい、詳しいことはホームページで見てもらう——という組み合わせが、小さなお店ではいちばん無理がありません。
05切り替えるなら、いつか
合図は2つだけ覚えていただければ十分です。
実際に切り替えるときの段取りは、次の順番でお進めください。
- 写真と文章を、手元に保存する 新しい場所で使うためにも、万が一のためにも。ここが済んでいれば、あとは慌てる必要がありません
- URLは、自分(または自社)の名義で取る 制作を誰かに頼む場合も、名義はご自分にしておいてください。ここを相手の名義にしていると、あとで別のところに移りたくなったときに動けなくなります。理由と手順はホームページの解約と乗り換えで、先に確かめることに書きました
- 新しいページを公開してから、前のページに案内を残す 前のページをすぐ消さず、新しいURLのご案内を置いておきます
- 直す順番は、Googleビジネスプロフィール → SNS → 名刺・チラシ 上から順に、見られている数が多く、直すのが簡単です。印刷物は、在庫がなくなってからで構いません
06有料にすると、何にお金を払うのか
「有料にしましょう」と言われても、何にいくら払うのかが分からないままでは決められません。お金がかかるところは、大きく4つです。
| お金がかかるところ | 何のためか | やめられるか |
|---|---|---|
| URL(独自ドメイン) | 自分の名前の住所を持つため。年ごとの更新があります | やめると、そのURLは使えなくなります |
| 置き場所(サーバー・利用料) | ページを置いて、見られる状態にしておくため | やめるとページは表示されなくなります |
| 作る手間 | 構成を決め、文章を書き、形にするため。最初の一度だけ | ご自分でされるなら、かかりません(時間はかかります) |
| 公開後の手直し | 営業時間の変更、写真の差し替え、不具合の対応 | ご自分でできるなら、なくても回ります |
ご参考までに、当社の場合はホームページ制作を税別50,000円(税込55,000円)、公開後の運用サポートを月額 税別2,000円(税込2,200円)でお引き受けしています。この金額で何ができて何ができないかは5万円のホームページで、できること・できないことに正直に書いてあります。
そのうえで、正直なところを申し上げます。無料の作成サービスをご自分で使いこなせていて、線にも当たっていないのであれば、そのままで大丈夫です。お金を払う価値が出てくるのは、「触る時間が取れない」「何を載せるかを一緒に決めてほしい」という場合です。道具の差ではなく、手間と判断を引き受けるかどうかの差だとお考えください。
Qよくあるご質問
無料で作ったページを、あとから自分のURL(独自ドメイン)に変えられますか。
変えること自体はできます。多くのサービスでは、有料プランに切り替えると自分で用意したURLをつなげられるようになっています。気をつけていただきたいのは、URLが変わると前のURLは別のものになる、という点です。名刺やチラシに刷ったURL、お客様のブックマーク、他のサイトからのリンク、SNSの紹介文に貼ったURL。これらは自動では新しいURLに付いてきません。無料プランの場合、前のURLから新しいURLへ自動で送る設定(転送)が用意されていないことも多く、その場合は前のページに新しい住所のご案内を残しておく、というやり方になります。ですので「あとから変えられるか」より「変えるならどの時点が安いか」でお考えいただくほうが実際的です。いちばん安いのは、URLを紙に刷る前です。2026年9月時点の情報で、設定できる範囲はご利用のサービスによって異なりますので、公式のご案内をご確認ください。
無料プランで表示される広告やロゴは、消せませんか。
無料のままでは消せない形になっていることが一般的です。これは設定を探せば見つかる類のものではなく、無料プランの仕組みとしてそうなっています。無料でページを置ける代わりに、そこが提供元のお知らせの場所になっている、という関係だからです。広告やロゴを消したい場合は、有料プランに切り替えるのが通常の道になります。なお、無料プランでも提供元のロゴが小さく出るだけのサービスもあれば、目立つ帯が出るサービスもあり、扱いはさまざまです。金額や表示の形は改定されることがありますので、本記事では具体的な数字を書かず、ご利用中のサービスの公式ページでご確認いただくことをおすすめしています。気にすべきかどうかは商売の形によります。ご紹介と常連さんで回っているお店ならほとんど影響がなく、初めての方に信頼していただくところから始まる商売ほど、気になりやすいところです。2026年9月時点の情報です。
無料で作ったページは、検索で出てこないのですか。
「無料だから出てこない」ということはありません。使っている作成ツールの名前そのもので検索順位が決まる、という案内をGoogleは出していません。公開されているガイダンスは、ページの内容が検索した人の役に立つかどうかについてのものです。実際、お店の名前で検索されたときに自分のページが出てくる、という使い方であれば、無料で作ったページでも問題になりにくいです。ただし、無料プランで不利になりやすいところはあります。ひとつは、検索されるための細かな設定(ページごとの説明文など)を触れないことがある点。もうひとつは、あとでURLを変えたときに、それまでに積み上がった評価やリンクをそのまま引き継げない点です。つまり弱点は「ツールが無料であること」ではなく「URLが自分のものではないこと」のほうにあります。検索から人に来てほしいと考え始めたら、そこが切り替えどきの目安になります。2026年9月時点の情報です。
無料のまま使い続けて、ある日ページが消えてしまうことはありますか。
可能性はあります。無料のサービスは提供元の判断でプランの内容が変わったり、サービス自体が終わったりすることがあります。実際に、Yahoo! JAPANのホームページ作成サービス「Yahoo!ジオシティーズ」は2018年10月1日に終了が発表され、2019年3月31日でページの表示が終了しました(当時の報道による。2026年9月時点で確認できる情報です)。長く続いた大きなサービスでも終わることがある、という一例です。ただ、これは無料サービスが危ないという話ではなく、無料だからこそ採算の判断で畳まれることがある、という構造の話です。こわがる必要はありませんが、備えはしておいてください。いちばん手堅い備えは、ページに載せている写真と文章を、自分のパソコンやスマートフォンにも必ず残しておくことです。作成サービスの中にしかない状態にしない。これだけで、万が一のときに作り直す手間がまったく変わります。
+まとめ
持ち帰っていただきたいのは3つです。①無料でも公開はできる。看板として使うなら、そのままで構わない ②線は広告・URL・持ち出しの3つ(+サービス終了の可能性)。使い方が悪いのではなく、無料プランの仕組みとして最初からそこにある ③切り替えるなら、名刺やチラシにURLを刷る前。遅くなるほど、刷り直しと案内の手間が増える。
そして、今日できることをひとつだけ。ページに載せている写真と文章を、ご自分のパソコンかスマートフォンに保存してください。無料のままで続けるとしても、切り替えるとしても、どちらでも効きます。10分で終わります。
私たちはホームページ制作を税別50,000円(税込55,000円)、運用サポートを月額 税別2,000円(税込2,200円)でお引き受けしていますが、この記事でお伝えしたかったのは「いま無料で困っていないなら、切り替えなくていい」ということのほうです。「うちは切り替えどきでしょうか」というご相談だけでも構いません。いまお使いのページを一緒に見て、線に当たっているかどうかをお伝えします。そのうえで、当社に発注いただく必要はありません。
※ 本記事は2026年9月時点の情報です。出典は次のとおりです。ビジネスプロフィールの作成・管理が無料であることは、Google「Googleビジネスプロフィール ヘルプ」/「Yahoo!ジオシティーズ」の終了発表(2018年10月1日)と表示終了(2019年3月31日)は、同日付の各社報道にもとづきます。無料プランの条件・料金・容量・機能については、サービスごとに異なり改定も頻繁なため、本記事では具体的な数値を記載していません。ご利用中または検討中のサービスの公式ページで、必ず最新の条件をご確認ください。本記事は特定のサービスを推奨または批判するものではなく、一般的な仕組みの整理です。