「制作会社との契約をやめたいけれど、お店のメールまで使えなくなるのでは」「info@ で始まるアドレスを名刺にも予約サイトにも載せている。変わったら困る」。ホームページの解約や乗り換えを考えたとき、いちばん不安になるのがメールだ、という店主の方は少なくありません。
先に答えをお伝えします。メールが止まるかどうかは、「ドメイン(アドレスの @ から後ろの部分)が誰の名義か」と「メールがどこに置かれているか」の2つで決まります。ドメインが自分の名義なら、手順を守ればアドレスはそのまま残せることが多いです。逆に、確かめないまま解約を伝えると、ある日から問い合わせメールが届かなくなり、しかも気づきにくい、ということが起こりえます。
この記事では、自分のメールがどのパターンかを見分ける方法、アドレスを失うと何が困るのか、解約前にやる5つの手順、どうしても残せないときの段取りまでを、専門用語に一言ずつ説明を添えてまとめます。特定の会社や契約の良し悪しではなく、仕組みと順番の話です。
01結論:止まるかどうかは「名義」と「置き場所」で決まる
お店のメールアドレスが info@お店の名前.jp のような形なら、それは「独自ドメイン」のメールです。ドメインとは、インターネット上の住所のようなもので、ホームページのURLとメールアドレスの両方に使われています。
ホームページの契約をやめるとき、このドメインとメールが一緒に止まるかどうかは、次の2つで決まります。
- ドメインの名義(登録者)が誰か:お店の名義なら、管理先を移して使い続けられます。制作会社の名義だと、移すには相手の手続きが必要になります。
- メールがどこに置かれているか:制作会社のサーバー(データの置き場所)の中なのか、お店が自分で契約しているサービスなのかで、解約の影響が変わります。
反対に、Gmail(@gmail.com)など無料のメールをお店のアドレスとして使っている場合は、ホームページの解約とは関係なく使い続けられます。この場合は、02以降のうち「フォームの通知先」の確認だけ見ておけば十分です。
解約の連絡より先に、「名義」と「置き場所」を確かめる。順番を変えるだけで、メールが止まる事故の多くは防げます。
02自分のメールはどのパターン?3つの見分け方
独自ドメインのメールは、置き場所によって大きく3つのパターンに分かれます。解約の影響は、次の図のように違います。
自分がどれに当たるかは、制作会社に聞く前に、手元で次の3つを見ると見当がつきます。
1. ドメインの名義を調べる
ドメインの登録情報は、誰でも無料で調べられます。「.jp」で終わるならJPRS(日本のドメインを管理している機関)の「WHOIS」、「.com」などならICANN(世界のドメインを取りまとめる団体)の「ICANN Lookup」というページに、お店のドメインを入れて検索します。「登録者」の欄がお店の名前か、制作会社の名前かを見てください(項目の名前は2026年10月時点のもので、変わることがあります)。あわせて「有効期限」も控えておきます。期限が近いのに更新の担当が分からない場合は、ドメインの更新を忘れたときの記事も参考にしてください。
2. 請求書の名目を見る
サーバー会社から直接請求が来ていればBの形、制作会社への支払いに「サーバー管理費」「ホームページ利用料」「メール利用料」などがまとめて含まれていればAの形の可能性があります。メールだけ別の会社に払っていればCです。
3. メールアプリの設定画面を見る
スマホやパソコンのメールアプリで、お店のアドレスの「アカウント設定」を開くと、受信サーバー・送信サーバーの名前が書かれています。そこに制作会社の名前や、聞き覚えのないサーバー会社の名前が入っていれば、その会社の設備の上でメールが動いている目安になります。
03アドレスを失うと、メール以外も困る
メールが止まると「問い合わせが届かない」だけと思われがちですが、実はもっと広く影響します。お店のメールアドレスは、ほかのサービスのログインID(入るときの名前)や、連絡先として登録されていることが多いからです。
解約の前に、そのアドレスがどこで使われているかを書き出してみてください。次の表は、よくある登録先の例です。
| 登録していそうな場所 | アドレスを失うと起きやすいこと | 先にやること |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール(Googleマップの管理画面) | 管理用アカウントに入れなくなる・通知が届かない | ログインに使うアドレスを確かめ、必要なら別のアドレスの管理者を追加 |
| 予約サイト・ポータルサイト | 予約やキャンセルの通知を見落とす | 通知先アドレスを確認・変更 |
| ネットバンキング・決済サービス | 確認メールが受け取れず手続きが止まる | 登録アドレスの変更手続きを先に |
| SNS(Instagram・LINE公式アカウントなど) | パスワードを忘れたときに戻せない | ログインに使うアドレスを確認 |
| ホームページのお問い合わせフォーム | 送られた問い合わせがどこにも届かない | 通知先を新しいアドレスへ(新しいホームページ側で設定) |
| 取引先・名刺・チラシ・看板 | 古いアドレスに連絡が来続ける | 変える場合は案内と刷り直しの時期を決める |
特に気をつけたいのが、届かなかったメールに気づきにくいことです。送った側にエラーが返るとは限らず、お店の側は「最近、問い合わせが少ないな」としか感じないことがあります。フォームのメールが届かないときの切り分けは、お問い合わせフォームのメールが届かないときの記事で詳しく解説しています。
04解約の前にやる5つの手順
ここからが本題です。アドレスを残したまま契約を切り替えるには、「確かめる → 控える → 移す → 確かめる → やめる」の順番を守ります。解約の連絡は、最後のほうです。
- お店のメールアドレスを全部書き出すinfo@ だけでなく、スタッフ用・予約用など、同じドメインで使っているアドレスをすべて一覧にします。転送の設定(届いたメールを別のアドレスに回す設定)があれば、それも書いておきます。
- ドメインの名義と管理先を確かめる02の方法で登録者と有効期限を控えます。名義が制作会社なら、お店の名義への変更や、管理先の移し替えができるかを、記録が残るメールで相談します。
- そのアドレスで登録しているサービスを整理する03の表をもとに、ログインIDや通知先になっている場所を確かめます。アドレスを変える可能性があるなら、この段階で別のアドレスへ変更しておくと安心です。
- 過去のメールを手元に控えるメールがサーバーに置かれたままの設定だと、サーバーの契約が終わると過去のメールも見られなくなるおそれがあります。大事なやり取りは、パソコンへの保存や別のアドレスへの転送で控えておきます。
- 新しい置き場所でメールが届くのを確かめてから、旧契約をやめる新しいメールの置き場所を用意し、ドメインの設定を切り替えたら、外から実際にメールを送って届くかを確かめます。旧契約は、届くのを確認してから終えるように日程を組みます。
手順4の「サーバーに置かれたまま」というのは、メールアプリの受信方式がIMAP(アイマップ:メールをサーバーに置いたまま見る方式)になっている状態です。POP(ポップ:メールを端末に取り込む方式)なら端末に残っていることがありますが、設定によってはサーバーから消えていたり、スマホとパソコンで中身が違ったりします。どちらか分からない場合は、メールアプリの設定画面で確かめてください。
切り替えの日程は、次の図のように組むと、メールが止まる時間を作らずに済みます。
なお、ドメインの管理先を移すときには、「認証コード(AuthCode)」という、ドメインごとのパスワードのような文字列が必要です。JPRSによると、「.jp」などのドメインでは、この認証コードに有効期限があり、JPRSが生成した日の翌日を1日目として35日後までに手続きを終える必要があります(JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」、2026年10月時点)。受け取ったら早めに進められるよう、新しい管理先を先に決めておくのが段取りのコツです。乗り換え全体の流れはホームページ制作会社を乗り換えるときの記事にまとめています。
05どうしてもアドレスを残せないときの段取り
ドメインが制作会社の名義のままで、名義の変更や管理先の移し替えに応じてもらえない、ということもありえます。その場合は、新しいドメインや別のメールアドレスに切り替える判断になります。悔しい選択ですが、段取りを決めて動けば、取りこぼしは小さくできます。
- 旧アドレスが動いているうちに案内する:取引先や常連のお客様に、新しいアドレスを知らせます。旧アドレスに自動返信(届いたメールに決まった文面を自動で返す設定)を付けられるなら、新しいアドレスを書いておきます。旧契約が終わると自動返信も止まるので、使えるのはそれまでの間です。
- 03の登録先を新しいアドレスに変える:ログインIDや通知先は、旧アドレスで確認メールを受け取れるうちに変えておきます。後からだと、本人確認に手間がかかることがあります。
- 名刺・チラシ・看板の刷り直しの時期を決める:一度に全部ではなく、在庫がなくなる順に差し替えていくのが現実的です。
- 新しいアドレスは、お店が自分で管理できる形で取る:次に同じことで困らないよう、名義とログイン情報をお店側に置きます。
契約の中身そのもの(途中でやめられるか、残りの支払いがどうなるか)に不安がある場合は、メールの段取りとは分けて考えてください。リースの形になっている契約の仕組みはホームページのリース契約は解約できる?の記事で解説しています。支払いを止めてよいかなど法律の判断が要る場面では、弁護士などの専門家に相談してください。
06次の契約で同じことにならないための確認
メールで困った経験は、次の契約選びに生かせます。新しく依頼する前に、次の4つを聞いておくと安心です。
| 確認すること | 安心できる答えの例 |
|---|---|
| ドメインは誰の名義で取りますか? | お店の名義で取る/名義をお店にできる |
| メールはどこに置かれますか? | 置き場所のサービス名と、契約の名義を教えてもらえる |
| 管理画面のログイン情報はもらえますか? | ドメイン・サーバー・メールの入り口をお店にも渡してもらえる |
| やめるとき、メールとドメインはどうなりますか? | 移すための手続き(認証コードの発行など)に応じてもらえる、と書面で確認できる |
契約書のどこを読めばよいかは、ホームページの契約前に確認することの記事でまとめています。私たちxFactoryに相談いただく場合も、この4つは最初にご説明します。今の契約のまま、メールとドメインがどうなっているかを一緒に確かめたいという段階でも、無料相談でお気軽にお聞かせください。
FAQよくあるご質問
ホームページを解約すると、メールアドレスも必ず使えなくなりますか?
必ずではありません。ドメインがお店の名義で、メールを別の置き場所へ移してから旧契約を終えれば、同じアドレスを使い続けられることが多いです。一方、ホームページとメールが制作会社のサーバーにまとめて入っていて、移す準備をしないまま契約が終わると、メールも一緒に止まるおそれがあります。
ドメインが誰の名義か、自分で調べられますか?
調べられます。「.jp」で終わるドメインはJPRSのWHOIS、「.com」などはICANN Lookupというページにドメインを入れると、登録者や有効期限が表示されます。登録者の欄がお店の名前か、制作会社の名前かを確かめてください。
過去にやり取りしたメールは、解約後も見られますか?
受信の方式によります。メールをサーバーに置いたまま見る方式(IMAP)だと、サーバーの契約が終わると見られなくなるおそれがあります。大事なメールは、解約の前にパソコンへの保存や別のアドレスへの転送で控えておくと安心です。
Gmailをお店のアドレスにしている場合も、影響はありますか?
Gmailのアドレス自体は、ホームページの解約とは関係なく使い続けられます。ただし、ホームページのお問い合わせフォームの通知先になっている場合は、新しいホームページでも同じアドレスに届くよう設定されているかを確かめてください。
+まとめ
ホームページを解約したときにメールが止まるかどうかは、ドメインの名義とメールの置き場所で決まります。WHOISで名義を、請求書とメールアプリの設定で置き場所を確かめれば、自分がどのパターンかは手元で見当がつきます。
アドレスを残すには、書き出す → 名義を確かめる → 登録先を整理する → 過去のメールを控える → 届くのを確かめてから旧契約をやめるの5つの順番を守ること。解約の連絡は最後です。残せない場合も、旧アドレスが動いているうちに案内と登録先の変更を済ませれば、取りこぼしは小さくできます。