「元請けから回ってくる仕事は、単価も日程もこちらでは決められない」「紹介が途切れた月は、急に手が空いてしまう」——電気工事や水道設備の仕事をされている方から、よく聞く話です。この記事は、そこから直接お客様から依頼が来る経路を、現場に出ながら少しずつ増やしていくための順番をまとめたものです。先に結論を書くと、やることは受け皿・地図・施工事例の3つだけ。広告はその後です。そして、下請けをやめる必要はありません。

01これは「下請けをやめる」話ではありません

この手の記事はたいてい、「下請けから脱却しよう」という書き出しで始まります。気持ちはわかるのですが、実際に現場を回している方からすると、いきなり言われても困る話ではないでしょうか。

下請けの仕事には、下請けなりの良さがあります。営業しなくても仕事が入ってくる。金額の交渉や見積もりの説明を自分でしなくていい。現場に集中できる。この土台があるから毎月が回っているのであって、それを明日ゼロにするのは、経営としてむしろ危ない判断です。

だから本記事では、目標をこう置き換えます。

下請けをやめるのではなく、「直接お客様から来る依頼」を月に2件つくる。まずはそれだけを目標にする。うまくいけば3件、5件と増やしていけばいいし、増えなければ今のままで困りません。

月2件という数字に根拠はありません。ご自身の現場の空き具合で決めてください。大事なのは、「全部を切り替える」ではなく「枠をつくる」という考え方にすることです。枠であれば、今の仕事を止めずに試せます。そして直接依頼が1件でも入れば、そこで初めて「自分で金額を決められる仕事は、どのくらい手元に残るのか」が実際の数字でわかります。その比較ができてから、増やすか増やさないかを判断すれば十分です。

ついでに、この記事でやらないことも先に書いておきます。集客方法を10も13も並べることはしません。現場に出ながら、社長かその家族が空き時間に回すという前提で、やることは3つに絞ります。同時にいくつも走らせると、どれも中途半端なまま止まる——これはホームページ制作を仕事にしていて、いちばんよく見る失敗の形です。

02設備工事の「探され方」は、2種類あります

何から手をつけるかを決める前に、お客様がどうやって工事店を探しているかを整理します。ここを分けずに考えると、打ち手がちぐはぐになります。

ひとつ目:急ぎの困りごと(一般のお宅・お店)

ブレーカーが落ちて戻らない。コンセントが焦げくさい。給湯器からお湯が出ない。水が漏れている。こういうときお客様はスマホを取り出して、「地域名+電気工事」「地域名+水漏れ 修理」のように検索します。そして、まず目に入るのは地図です。

この場面で見られているのは、技術の高さではありません。近いか/今日来てくれそうか/電話がすぐかけられるか。判断は数十分で終わります。ホームページを隅々まで読む人はいません。

ふたつ目:計画された工事(工務店・管理会社・法人の担当者)

店舗の改修に合わせた電気工事、設備の更新、定期点検の依頼先探し。こちらはパソコンで検索して、ホームページの中身を読み込みます。見られるのは施工実績、対応できる工事の範囲、動ける人数、保有している資格、そして「同じような工事をやったことがあるか」。何社か比べたうえで、数日から数週間かけて決まります。

同じ「電気工事を頼みたい人」でも、入口も、見るものも、決まるまでの時間も違います。図にするとこうなります。

設備工事の探され方は2種類。急ぎの困りごとはスマホと地図から数十分で決まり、計画された工事はパソコンとホームページから数日かけて決まる 急ぎの困りごと 一般のお宅・お店 きっかけ ブレーカーが落ちた/水が漏れた 探す場所 スマホで「地域名+電気工事」 → まず地図が目に入る 見ているもの 近いか/今日来てくれるか 電話がすぐかけられるか 決まるまで:数十分 計画された工事 工務店・管理会社・法人の担当者 きっかけ 改修・設備の更新・点検先探し 探す場所 パソコンで検索して比較 → ホームページを読み込む 見ているもの 施工実績/対応できる工事 動ける人数・資格・体制 決まるまで:数日〜数週間 どちらの入口から来ても、最後に見られるのは「自社のホームページ」と「Googleマップ」
図1: 同じ「工事を頼みたい人」でも、急ぎの困りごとと計画された工事では入口も見るものも違います。ただし行き着く先は同じ2つです。

ここで大事なのは、2つの入口があるけれど、受け皿は共通しているということです。急ぎのお客様は地図から電話をかけますが、その前に一瞬ホームページを見て「ちゃんとした会社かどうか」を確かめます。法人の担当者は地図はあまり見ませんが、ホームページは端から端まで読みます。だから最初に手をつけるのは、両方が最後に行き着く受け皿です。

03最初にやるのは受け皿づくり——載せるのは5つだけ

設備工事のホームページで、凝ったデザインが必要になる場面はほとんどありません。必要なのは、お客様が確かめたいことが書いてあることです。逆に言うと、書いていないことは「無い」と受け取られます。

載せるものを5つに絞りました。

載せるもの急ぎのお客様が見るところ工務店・法人が見るところ
① 対応できる工事「エアコンの取り付け」「コンセント増設」など、自分の困りごとの言葉があるか「高圧受電設備」「給排水設備」など、依頼したい工事の名前があるか
② 対応エリアと動ける時間自分の住所が範囲に入っているか。何時まで受けてもらえるか現場の場所まで来られるか。緊急時に動けるか
③ 会社と体制顔写真があるか。何年やっているか何人で動けるか。どんな資格を持った人がいるか
④ 料金の考え方出張費はかかるのか。見に来てもらうだけでお金がかかるのか見積もりの出し方。追加費用が出る条件
⑤ 連絡手段電話番号が大きく出ているか(スマホで押せるか)フォームで図面や写真を送れるか

このうち、特に抜けやすいのが④の料金の考え方です。工事の金額は現場を見ないと出せません。それは当たり前なのですが、お客様の側は「見積もりを頼んだら断りにくくなるのではないか」「呼んだだけで出張費を取られるのではないか」と身構えています。ここに「現地調査とお見積もりは無料です/出張費は◯◯市内は不要です」のように、はっきり書いてあるかどうかで、連絡のしやすさが変わります。金額そのものより、お金の不安をひとつ消しておくことのほうが効きます。

③の資格や体制は、法人の担当者がいちばん気にするところです。保有資格や登録の番号、在籍している有資格者の人数、対応できる工事の種類——このあたりは、お客様が自分で調べようとしても調べられない情報なので、書いてあるだけで比較の材料になります。※どの情報をどこまで掲載するかは、事業の内容や許認可の種類によって考え方が異なります。判断に迷う場合は、所管の窓口や業界団体にご確認ください。

お客様が確かめたいことが書いてない——それだけで、比較の土俵から外れます

04次がGoogleマップ。現場写真と対応エリアを入れる

受け皿ができたら、次はGoogleビジネスプロフィールです。横文字ですが、要は「Googleマップに出てくる自分の会社の情報欄」のことで、登録と設定は無料でできます(2026年9月時点)。

設備工事と地図の相性が良いのには理由があります。02で書いたとおり、急ぎの困りごとを抱えた人は「地域名+電気工事」で検索して、まず地図を見るからです。そして地図から直接、電話をかけます。ホームページを経由しないこともあります。

やることは3つです。

  • 対応エリアを設定する——店舗と違って現場に出向く商売なので、住所だけでなく「どこまで行けるか」を登録します
  • 現場の写真を入れる——作業中の様子、使っている工具、車両、スタッフ。きれいな写真より、実際の現場が伝わる写真のほうが材料になります
  • 電話番号と営業時間を実態に合わせる——夜間や休日も受けるなら、そう書く。受けないなら書かない。ここがずれていると、かけたのに出ないという体験になります

口コミについては、工事が終わって「助かりました」と言ってもらえたときに、お願いしてみる程度でかまいません。書く内容を指定したり、身内に書いてもらったりするのは、Googleのルールに反するうえ、読む人にも伝わります。返信は、時間が空いても構わないので、ご自身の言葉で書いてください。

登録の手順そのものは、「MEO対策を自分でやる手順」で画面に沿って説明しています。業者に頼まなくても、ご自身で設定できる範囲の作業です。

05施工事例は「写真」ではなく、3点セットで書く

3つ目が施工事例です。ここが、設備工事でいちばん効く場所だと考えています。理由は単純で、お客様は工事の良し悪しを自分では判断できないからです。判断できないので、「自分と同じような困りごとを、この会社が解決したことがあるか」を手がかりにします。

よくあるのが、施工前と施工後の写真を2枚並べて終わり、という形です。これだともったいない。写真からは、何が問題で、何をしたのかが伝わらないからです。書くのは3点セットです。

  • ① どんな困りごとだったか——「築25年の住宅で、エアコンを増設したらブレーカーが落ちるようになった」
  • ② 何をしたか——現地で何を確かめ、どういう判断で、どの工事を選んだか。ほかの選択肢があったなら、なぜそれにしなかったか
  • ③ どうなったか・かかった時間——作業にかかった時間、住んだまま工事できたのか、その後どうなったか

②の「なぜその工事を選んだか」が入っていると、読む人はこの会社は考えて選んでいると受け取ります。これは金額の話より効きます。そして工事の名前が本文に自然に入るので、同じ困りごとで検索した人に見つけてもらいやすくもなります。

ネタは現場にあります。スマホで作業前に1枚、途中で1枚、終わりに1枚撮っておくだけで、材料はたまります。月に2本でも、1年で24本。事例が24本あるホームページは、会社概要しかないホームページとは別物です。書き方のコツは「施工事例の見せ方」でもう少し詳しく整理しています。

お客様のお宅や取引先の現場を撮る場合は、事前にひとこと確認してください。表札や部屋の中が写り込まないようにする、法人の現場なら社名を出していいか確認する——このあたりを最初に決めておくと、毎回迷わずに済みます。

06広告とマッチングサイトを、先に増やさない理由

「それより広告を出したほうが早いのでは」と思われるかもしれません。実際、検索広告は出したその日から表示されますし、マッチングサイトは登録すれば案件の情報が届きます。早いのは事実です。

それでも順番を後ろに置くのには、理由があります。

受け皿・地図・施工事例の3つを先に整え、広告とマッチングサイトはその後に検討する順番を示した図 STEP 1 受け皿をつくる 載せるのは5つだけ STEP 2 地図に出す エリア・現場写真・電話 STEP 3 施工事例を足す 月2本ずつ積む そのあとで検討 広告・マッチング 受け皿ができてから 先に広告から始めると 見に来た人が確かめる場所が無いまま、 費用だけが毎月出ていく状態になります
図2: 受け皿・地図・施工事例の3つが先。広告とマッチングサイトは、確かめる場所ができてからでも遅くありません。

広告は「見に来てもらう」ための手段であって、「選んでもらう」手段ではありません。クリックした先に会社概要しか無ければ、お客様は戻って別の会社を見ます。受け皿が整っていない状態で広告費を出すのは、お客様を呼び込んでから、確かめる場所が無いことに気づいてもらうという順番になってしまいます。

マッチングサイトやポータルサイトは、また別の性質があります。仕組みとしては、集客の部分を代わりにやってもらう代わりに、手数料や掲載料という形で費用を払い、価格の決め方や条件はその場のルールに合わせるというものです。仕事の入口として使うこと自体は、何も悪いことではありません。実績ゼロの立ち上げ期には現実的な選択肢でもあります。

気をつけたいのは、そこだけになってしまうと、下請けのときと同じ構造に戻るという点です。単価も条件も自分では決められず、その経路が止まったときに手が空く。せっかく直接のお客様と出会えても、次に思い出してもらう手段が無い。だから使うなら、並行して自社の受け皿を育てておく——それが本記事の順番です。手数料の仕組みそのものについては、「マッチングサイトの手数料とルール」で整理しています。

判断に使うのは、他社の数字ではなく自分の数字

この手の記事には「問い合わせが◯倍になりました」という数字がよく出てきます。本記事では出しません。母数や期間が示されていない倍率は、自分の会社に当てはめようがないからです。

代わりに、こちらを埋めてみてください。直近3ヶ月でかまいません。

受注の経路件数平均単価金額を自社で決められるか
元請け・下請け  決められない/一部できる
知人・紹介  できる
マッチングサイト・ポータル  相場と手数料の範囲で
自社ホームページ  できる
Googleマップ(地図から直接)  できる

埋めてみると、たいてい2つのことがわかります。ひとつは、下請けと直接依頼で1件あたりの金額がどのくらい違うか。もうひとつは、いま自分の受注がどれか1つの経路に寄っていないかです。この2つがわかれば、月に何件の直接依頼をつくれば手応えがあるのかを、他社の数字ではなく自分の数字で決められます。

そのうえで、3ヶ月後にもう一度同じ表を埋めてください。「自社ホームページ」と「Googleマップ」の行に数字が入っていれば、経路ができたということです。入っていなければ、どこで止まっているのか(そもそも見られていないのか、見られているが連絡が来ないのか)を確かめる段階に進みます。

FAQよくあるご質問

一人親方でもホームページは必要ですか。現場に出ていて更新する時間がありません。

更新の時間が取れないことを前提に考えたほうが現実的です。本記事の受け皿(対応できる工事・対応エリアと動ける時間・会社と体制・料金の考え方・連絡手段の5つ)は、一度書けば頻繁に変える必要のない情報です。まずはその5つだけのホームページをつくって、施工事例だけを空いた時間に足していく形をおすすめします。事例も、作業の前後にスマホで写真を撮っておけば材料になります。逆に、毎週の更新が前提になっているような作り方は、現場に出ている方には続きません。

ホームページとGoogleマップは、どちらを先にやるべきですか。

ホームページ(受け皿)が先です。理由は2つあります。ひとつは、Googleマップを見た人の多くが、電話をかける前にホームページを開いて「ちゃんとした会社か」を確かめるためです。もうひとつは、工務店や管理会社などの法人の担当者は地図をあまり使わず、ホームページの中身で比較するためです。ただしGoogleビジネスプロフィールの登録自体は無料で、作業も長くはかかりませんので、ホームページの準備と並行して登録を進めておくのは問題ありません。

電気工事と水道・空調など、複数の工事をやっています。全部載せたほうがいいですか。

対応できる工事は全部載せてかまいませんが、1ページにまとめて並べるのではなく、工事の種類ごとにページや見出しを分けることをおすすめします。お客様は「電気工事の会社を探す」のではなく「エアコンの増設をしてくれる人を探す」「給湯器を替えてくれる人を探す」という探し方をするためです。種類ごとに分けておくと、その困りごとで検索した人に見つけてもらいやすくなり、読む側も自分の用件が対応範囲に入っているかを判断しやすくなります。

ホームページをつくれば、下請けの仕事を減らせますか。

つくっただけで受注の構造が変わるわけではありません。本記事でおすすめしているのは、下請けを減らすことを目標にするのではなく、まず「直接お客様から来る依頼を月に数件つくる」という枠を置く考え方です。そのうえで、直接依頼が実際に何件入り、1件あたりいくら手元に残るのかを自分の数字で比べてから、増やすかどうかを判断してください。ホームページ・Googleマップ・施工事例は、その判断をするための材料を集める仕組みであって、それ自体が受注を保証するものではありません。

まとめ

電気工事や水道設備の集客で、やることを3つに絞るとこうなります。

  • 受け皿をつくる——対応できる工事/対応エリアと動ける時間/会社と体制/料金の考え方/連絡手段の5つを書く
  • 地図に出す——Googleビジネスプロフィールに対応エリアと現場の写真を入れ、電話番号と営業時間を実態に合わせる
  • 施工事例を足していく——困りごと/何をしたか/どうなったか の3点セットで、月に2本ずつ

広告とマッチングサイトは、この3つができてから検討しても遅くありません。そして目標は下請けをやめることではなく、直接依頼の枠を月に2件つくること。枠であれば、今の仕事を止めずに試せます。

金額と日程を、自分で決められる仕事を月に2件。そこからで十分です。

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※本記事の価格およびGoogleビジネスプロフィールの機能に関する記述は2026年9月時点のものです。許認可・登録の表示に関する取り扱いは、所管の窓口や業界団体にご確認ください。

xFactory 編集部
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