ネットショップの下のほうに、決まって「特定商取引法に基づく表記」というリンクがあります。あれを見て、「うちのホームページにも要るのだろうか」と気になった方に向けて書きました。

先に結論を3つ申し上げます。①ホームページで注文や申込みを受けていないのなら、必要にならないことが多いです。メニューと地図を載せているだけの集客用のホームページは、ふつうこれに当たりません。②必要な場合でも、氏名・住所・電話番号は画面から省くことができます。「請求があれば遅滞なくお知らせします」と書き、実際に出せるようにしておくことが条件です。③ただし、省略できない項目が残ります。いちばん大事なのは返品の条件です。

③はあまり書かれていません。「請求があれば開示します」と一行入れて、それで全部隠せたつもりになっている表記を、ときどきお見かけします。省略の話より先に決めるべきなのは、返品を受けるかどうかのほうです。

本記事は2026年9月時点の情報です。内容は消費者庁「特定商取引法ガイド」の通信販売のページ・通信販売広告Q&A・令和6年11月19日付の施行通達を確認して書いており、出典は末尾にまとめています。法令や運用は改定されますので、判断の前にはご自身で最新の内容をご確認ください。また本記事は一般的な情報の整理であり、個別のホームページが法律の対象になるかを判断するものでも、法律上の助言でもありません。特定の会社やサービスを批判する意図もありません。判断に迷われる場合は、弁護士などの専門家、またはお住まいの自治体の消費生活センターにご相談ください。なお、当社はホームページ制作を受注する側の会社です。制作の依頼をおすすめするための記事ではない、という前提でお読みいただければと思います。

01まず、うちの店に必要かどうかを決める

この表記は、すべてのホームページに要るものではありません。要るのは、特定商取引法でいう「通信販売」にあたるときです。

通信販売とは、消費者庁の案内では「事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引」と説明されています。つまり広告を見た人が、その場で申し込めるかどうかが分かれ目です。

もう少し踏み込んだ言い方が、令和6年11月19日付の施行通達にあります。法第11条の適用を受ける広告は「販売業者等が通信手段により申込みを受けて商品の販売等を行うことを意図していると認められる広告」であり、通信販売を行う旨が明確に表示されている場合のほか、送料や口座番号等を表示している場合や、実店舗では購入できない商品の広告等も該当するとされています。

特定商取引法に基づく表記が自分の店に必要かどうかを判定する図。出発点はホームページで注文や申込みを受け付けているかどうか。受け付けていない場合は多くの場合不要で、例として店頭でしか売っていない、メニューと地図を載せているだけ、代金のやりとりがない来店予約のみが挙げられる。受け付けている場合は必要で、例としてカートや注文ボタンがある、オンライン決済がある、メールや電話で取り寄せ注文を受ける、オンライン講座や有料相談を売るが挙げられる。図の下には、判断に迷うときは表記を置いておくほうが安全であること、置いておくことによる不利益はないことが書かれている 図1:分かれ目は「その場で申し込めるかどうか」だけです ホームページで、注文や申込みを 受け付けていますか いいえ はい 多くの場合、表記は不要です 表記が必要になります ・店頭でしか売っていない ・メニューと料金と地図があるだけ ・来店の予約だけを受けている  (代金のやりとりが先に起きない) ・買い物かごや注文ボタンがある ・ネットで代金を支払える ・メールや電話で取り寄せを受ける ・オンライン講座や有料相談を売る 迷ったときは、置いておくほうが安全です 置いてあることで困る場面はありません。逆に、送料や振込口座だけ載っている状態が いちばん中途半端です。 ※ 2026年9月時点。消費者庁「特定商取引法ガイド」および令和6年11月19日付の施行通達をもとに整理しています。
図1:要らない人に「要ります」と言わないために、まずここを分けます。

ここで気をつけたいのが、中途半端な状態です。ネット販売をするつもりはないのに、ページのどこかに「送料は全国一律◯円です」「お振込先はこちら」とだけ書いてある。この一文があると、申込みを受ける意思があると読める広告に近づきます。始めるなら表記を置く、始めないなら送料と口座を消す。どちらかにしておくのが分かりやすいと思います。

もうひとつ。個人でも対象になります。消費者庁の案内では「販売業者又は役務提供事業者」とは販売や役務の提供を業として営む者を指し、業として営むとは、営利の意思をもって反復継続して取引を行うこととされています。「副業だから」「小さいから」という理由での例外はありません。一方で、営業のため、または営業として締結するもの(事業者どうしの取引)には特定商取引法が適用されないとされています(法第26条)。卸だけをなさっている場合と、一般のお客様にも売る場合とでは、扱いが変わるということです。

分かれ目は、規模でも業種でもありません。その場で申し込めるかどうか、それだけです。

02必要なら、何を書くのか。店の言葉に置き換える

法律の条文には、表示する事項が並んでいます。そのまま読むと構えてしまうので、店の言葉に置き換えた表にしました。よく効くところだけを抜き出しています。

書く項目お店の言葉にするとつまずきやすいところ
氏名(名称)誰が売っているのか個人事業者は戸籍上の氏名または商業登記した商号。屋号やサイト名だけは認められないとされています
住所どこで商売をしているか現に活動している住所を、番地まで正確に。ビルの一室なら建物名と部屋番号も省略しないとされています
電話番号確実につながる番号載せるだけでは足りず、確実に連絡が取れる番号であることが求められます。夜間などに留守番電話を使うのは構わないとされています
販売価格・送料いくら払うことになるか実際に取引される価格(実売価格)を書きます。送料は金額で。細かい場合は最高と最低、平均、数例といった書き方も認められています
支払いの時期と方法いつ・どうやって払うか前払いか後払いかで扱いが変わります。前払いの場合の支払時期は省略できません
引渡しの時期いつ届くか「ご入金確認後◯営業日以内に発送」のように、お客様が待つ期間の見当がつく書き方に
返品に関する事項返せるのか、いつまで、送料は誰がここが本丸です。可否・期間などの条件・送料の負担を書きます。省略できません(04で詳しく)
その他に負担する金銭送料以外にかかるお金代引き手数料・振込手数料・梱包料など。あとから足すといちばん揉めます
法人の場合の責任者名担当している人の名前法人がインターネットで広告する場合、代表者名または通信販売の業務の責任者名が必要。代表権がなくても構いません

このほかにも、申込みの期間に定めがあるとき(「◯日までのご注文分」など)、2回以上続けて契約する必要があるとき(定期購入・月額のサービス)、数量制限などの特別な条件ソフトウェアを使う商品の動作環境メールで広告を送るときのメールアドレスといった項目が定められています。どれも「該当する場合は」という条件つきです。

文章の巧拙は関係ありません。読んだ人が、払う金額・届く時期・返せる条件の3つを迷わず言えるか。そこだけ確かめれば十分だと思います。

03自宅の住所を出したくない。道は3つ、順番があります

ここが、いちばんご相談の多いところです。自宅で商売をされている方にとって、住所をインターネットに載せることは、法律の話である前に生活の話です。

道は3つあります。費用がかからない順に並べます。逆から検討すると、必要のない出費になることがあります。

  1. 道1|お店や事務所の住所を書く(費用0円・ここで終わる方が多い)
    意外に見落とされますが、表示するのは「現に活動している住所」です。実店舗をお持ちなら、その店舗の住所で足ります。自宅とお店が別なら、この時点で悩みは終わります。施行通達では、いわゆるレンタルオフィス等であっても、現に活動している住所といえる限り法の要請を満たすと考えられるとされています。まずはご自身の商売の拠点がどこかを確かめてみてください。
  2. 道2|省略の規定を使う(費用0円・ただし請求されたら開示する)
    法第11条ただし書は、請求により表示事項を記載した書面または電子メール等を「遅滞なく」提供する旨を広告に表示し、実際に遅滞なく提供できる措置を講じている場合には、氏名・住所・電話番号の表示を省略できるとしています。「遅滞なく」とは、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることと案内されています。費用はかかりませんが、これは「隠す」ではなく「請求されたら出す」約束です。問い合わせを見ていない、返事をしない、という状態では前提が崩れます。
  3. 道3|プラットフォームやバーチャルオフィスの住所を表示する(条件つき・費用は場合による)
    消費者庁の通信販売広告Q&Aでは、一定の措置が講じられ、住所・電話番号についての要件が満たされる場合には、通信販売の取引の場を提供するプラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所・電話番号を表示することによっても、法の要請を満たすものと考えられるとされています。挙げられている条件は、①プラットフォームの住所を使う場合は、その取引の活動がそのプラットフォーム上で行われること ②その住所・電話番号が連絡先として機能することについて、本人と運営事業者との間で合意があること ③運営事業者が本人の現住所と本人名義の電話番号を把握し、確実に連絡が取れる状態にあることです。誰の住所を借りるかではなく、連絡が取れるかどうかが芯だとお考えください。
費用使える範囲残る限界
1|店舗・事務所の住所0円自社サイトでもどこでも使えます自宅で商売をされている場合は、この道は使えません
2|省略の規定0円自社サイトでもどこでも使えます請求されたら開示することになります。請求に応じられる体制が前提です
3|他社の住所を表示サービスによって幅があります(無料の機能もあれば、月額のかかるサービスもあります)プラットフォームの住所は、そのプラットフォーム上の取引が前提です提供の有無・対象・条件はサービスごとに違います。契約前に、特定商取引法の表記に使えるかを必ずご確認ください

そして、3つの道に共通して残る限界を、正直に書いておきます。商品を発送するときの差出人、返品を受け取る先。この場面では、相手に住所が伝わることがあります。表示の話と、荷物の話は別です。「表示を消せば完全に見えなくなる」という説明を見かけることがありますが、そこは分けて考えたほうが、あとで驚かずに済みます。

省略は、隠すことではありません。「請求されたら出します」という約束です。

04省略しても、省略できないものが残ります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

「請求があれば開示します」の一文を入れれば、あとは全部省ける——そう思って作られた表記を、ときどきお見かけします。実際には、省略できる事項と省略できない事項が、消費者庁のガイドに一覧で示されています。

省略の規定を使ったときに画面から消せる項目と、消せない項目を並べた図。消せるのは事業者の氏名、住所、電話番号、代金の支払方法、後払いのときの支払いの時期、返品以外の解除に関する事項。消せないのは返品に関する事項として返品の可否と期間と送料の負担、申込期間の定めがあるときはその内容、2回以上続けて契約が必要なときの条件、数量制限など特別の販売条件、電子メールで広告するときのメールアドレス。図の下には、省略の条件は請求があれば遅滞なくお知らせしますと表示し、実際にすぐ出せるようにしておくことであること、返品の条件はどの道を選んでも自分で決めて書く必要があることが書かれている 図2:「請求があれば開示します」で消えるもの・消えないもの 画面から消せるもの どんな場合も書くもの ・事業者の氏名(名称) ・住所 ・電話番号 ・代金の支払方法 ・後払いのときの、支払いの時期 ・返品以外の、解除に関する事項 ・返品に関する事項  (可否・期間などの条件・送料の負担) ・申込期間の定めがあるときの内容 ・2回以上続けて契約するときの条件 ・数量制限など特別の販売条件 ・メール広告をするときのアドレス 左が消える条件は、ひとつだけです 「請求があれば、遅滞なくお知らせします」と広告に書き、実際にすぐ出せるようにしておくこと。 出せない状態なら、省略の前提そのものが崩れます。 住所を消すかどうかより先に、返品の条件を自分の言葉で決めてください。 ※ 販売価格・送料などをすべて表示している通常のかたちの場合。2026年9月時点・消費者庁「特定商取引法ガイド」の一覧より抜粋。
図2:抜けやすいのは右側です。ここは、どの道を選んでも自分で決めることになります。

右側でとくに効いてくるのが返品に関する事項です。返品の可否、期間などの条件、送料をどちらが負担するか。これは、価格や送料を表示していてもいなくても、省略できないものとして挙げられています。

理由は想像がつくと思います。実際にお客様との行き違いがいちばん起きるのが、返品の場面だからです。「思っていた色と違った」「サイズが合わなかった」。そのときに、書いてあるかどうかで話の進み方がまるで変わります。

さらに、インターネット通販の場合、返品特約は最終確認画面にも表示することが定められています(法第15条の3ただし書・省令第44条)。フッターのページに書いてあれば済む、というものではないということです。

もし返品を受けないと決めたなら、そのこと自体は書けます。大切なのは、受けるか受けないかを決めて、はっきり書いておくこと。決めていない状態がいちばん困ります。

05よく見かける5つの間違い

ここからは、実際のページでよくお見かけするものを5つ。どれも直し方は簡単です。

よくある書き方なぜ足りないのかどう直すか
販売業者:〇〇商店(屋号だけ)個人事業者の「氏名又は名称」は、戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号を記載することを要し、通称や屋号、サイト名のみは認められないとされています氏名と屋号を併記する。または、02の省略の規定を使って表示自体を省く
住所:私書箱を記載特定商取引法の「住所」は営業上の活動の拠点となる場所を指し、私書箱を表示しても住所を表示したことにはならないとされています。番地を足せばよいという話ではありません現に活動している住所を書く。出したくない場合は、03の道2または道3へ
住所:東京都〇〇区まで番地を一部省略するような表示は認められないとされています。ビルの一室なら、建物名と部屋番号も省略できないとされています正確に書くか、省略の規定を使って「書かない」を選ぶ。中途半端がいちばんよくありません
電話番号は載せているが、出ない使用可能な番号を掲載していても、意図的に常に電話を取らない状態にしている場合等は、確実に連絡が取れる番号を表示したことにならないとされています営業時間を添える。夜間などに留守番電話を使うのは構わないとされています
PDFだけ・問い合わせフォームの中だけこれらの事項は、広告の冒頭部分から容易に表示箇所へ到達できる方法で表示されるべきとされています「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」といったリンクを、全ページの決まった場所に置く

5つとも、知らなかっただけのことです。悪気があって書いている方に、私たちは会ったことがありません。直すのに費用もかかりません。

06どこに、どう置くか

置き場所にも案内があります。むずかしい話ではありません。

  • 全ページから1クリックで行ける場所に 「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」といった表現のリンクが用意されていれば、冒頭部分から容易に到達できる方法に該当するとされています。フッターに置くのが一般的です
  • 氏名・住所・電話番号は、読める大きさで これらは事業者の属性に関する事項なので、消費者が容易に認識できる文字の大きさ・方法で、容易に認識できる場所に表示することとされています。小さな灰色の文字で敷き詰めない、ということです
  • 注文の最終確認画面にも インターネット通販では、最終確認画面に分量・価格・支払いの時期と方法・引渡しの時期・申込期間の定め・撤回や解除に関する事項(返品特約を含む)を表示することが定められています
  • ページを他社のサイトに逃がさない 取引をしている場所に表示できるのに、外部の自分のサイトへのリンクだけを貼るような形は、容易に到達できる方法に該当しないのがふつうとされています

制作を誰かに頼む場合は、見積もりの段階で「特定商取引法に基づく表記のページも要ります」と伝えておくと、あとから追加になりません。ページの枠は制作する側で用意できますが、返品を受けるかどうか、送料をいくらにするかといった中身は、お店側で決めるところです。見積書の見方はホームページ制作の見積書、どこを見る?に、契約前に確かめる3行はホームページ制作の契約書、署名前に見る3行にまとめてあります。

なお、表示が足りない場合について、消費者庁のガイドでは「業務改善の指示(法第14条第1項)や業務停止命令(法第15条第1項前段)、役員等の業務禁止命令(法第15条の2第1項)等の行政処分の対象となるほか、一部は罰則の対象にもなります」と案内されています。いきなり何かが起きる、という書き方はしないでおきます。ただ、直すのに1時間もかからないところを放っておく理由もない、というくらいの温度でお考えいただければと思います。

Qよくあるご質問

店頭で売っているだけで、ホームページには写真とメニューしか載せていません。表記は必要ですか。

その形であれば、必要にならないことが多いと考えられます。特定商取引法の「通信販売」は、事業者が広告をして、郵便・電話・インターネットなどの通信手段で申込みを受ける取引を指します。消費者庁の案内では、法第11条の適用を受ける広告は「通信手段により申込みを受けて商品の販売等を行うことを意図していると認められる広告」とされており、通信販売を行う旨が表示されている場合のほか、送料や振込口座を表示している場合、実店舗では買えない商品の広告なども該当するとされています。逆に、メニューや料金と地図を載せていて、契約は店頭でしか結ばない集客用のホームページは、この「申込みを受ける意思が認められる広告」には当たらないのがふつうです。ただし、ページの中に「お取り寄せは電話・メールでお受けします」「送料は全国一律◯円」といった一文を足した時点で、申込みを受ける意思があると読めるようになります。ネット販売を始めるつもりがないのに送料や口座番号だけ載っている、という状態がいちばん中途半端ですので、そこだけ見直してみてください。なお、これは一般的な整理であって個別の判断ではありません。2026年9月時点の情報です。

自宅の住所を出したくありません。省略すれば、誰にも知られずに済みますか。

「画面に出さない」ことはできますが、「誰にも知られない」ことにはなりません。ここは分けて考えてください。特定商取引法第11条ただし書は、消費者からの請求によって表示事項を記載した書面または電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、実際に遅滞なく提供できる措置を講じている場合には、氏名・住所・電話番号の表示を省略できるとしています。つまり省略とは「隠す」ことではなく「請求されたら出す」という約束です。請求が来れば、そのときは住所をお伝えすることになります。また、この「遅滞なく」は、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいうと案内されています。住所そのものを自宅以外にしたい場合は、店舗や事務所の住所を使う、あるいは条件を満たすかたちでプラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所を表示する、という道になります。ただしどの道を選んでも、商品を発送するときの差出人や返品の送り先では、相手に住所が伝わる場面が残ります。表示の話と、荷物の話は別だとお考えください。2026年9月時点の情報です。

屋号だけではいけないと聞きました。本名は必ず出さないといけませんか。

表示する場合は、屋号やサイト名だけでは足りません。消費者庁の通信販売広告Q&Aでは、「氏名又は名称」について、個人事業者の場合は戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号を記載することを要し、通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められないとされています。ただし、必ず画面に出さなければならないかというと、そうではありません。同じQ&Aでは、消費者からの請求によって広告表示事項を記載した書面または電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる措置を講じている場合には、事業者の氏名(名称)の表示を省略することも可能とされています。氏名は絶対に隠せない、という説明を見かけることがありますが、法律の側の整理としては住所・電話番号と同じ枠組みです。なお、商業登記をしていれば商号を表示することもできます。表示を省略する場合でも、請求があったときに出せる体制が前提になりますので、問い合わせ窓口は必ず動く状態にしておいてください。2026年9月時点の情報です。

「請求があれば開示します」と書けば、全部の項目を省略できますか。

いいえ、省略できない項目が残ります。ここが見落とされやすいところです。消費者庁の特定商取引法ガイドには、省略できる事項と省略できない事項の一覧が示されており、販売価格・送料などをすべて表示している通常のかたちでは、返品に関する事項(返品の可否、返品の期間などの条件、返品の送料負担の有無)は省略できないとされています。ほかにも、申込みの期間に関する定めがあるときはその旨と内容、契約を2回以上継続して締結する必要があるときの販売条件、販売数量の制限など特別な販売条件、ソフトウェアの動作環境、電子メールで広告するときの電子メールアドレスなども省略できないものとして挙げられています。さらに、返品特約についてはインターネット通販の最終確認画面にも表示することが定められています。実際にお客様との行き違いがいちばん起きるのは返品の場面ですので、住所を省略するかどうかより先に、返品の条件を自分の言葉で決めて書いておくことをおすすめします。2026年9月時点の情報です。

まとめ

持ち帰っていただきたいのは3つです。①ホームページで注文や申込みを受けていないなら、必要にならないことが多い。分かれ目は規模でも業種でもなく、その場で申し込めるかどうか ②必要な場合でも、氏名・住所・電話番号は「請求があれば遅滞なくお知らせします」と書いて画面から省ける。氏名も同じ枠組みです ③ただし返品に関する事項は省略できず、最終確認画面にも表示することが定められている。ここが、いちばん抜けやすいところです。

そのうえで、今日できることをひとつだけ。ご自分のホームページを開いて、送料や振込口座が書かれていないかを見てみてください。書かれているなら、ネット販売を始めるのか始めないのかを、はっきりさせるタイミングです。始めるなら表記を1ページ足す。始めないなら、その一文を消す。どちらも、今日のうちに終わります。

私たちはホームページ制作を税別50,000円(税込55,000円)、公開後の運用サポートを月額 税別2,000円(税込2,200円)でお引き受けしています。ただ、この記事でお伝えしたかったのは、ここに書いたことはどの会社に頼むときも同じで、いまお使いのホームページでもご自分で確かめられるということのほうです。「うちのページ、これで足りていますか」というご相談だけでも構いません。ご一緒に見て、直したほうがよいところをお伝えします。そのうえで、当社に発注いただく必要はありません。公開したあと、どれくらい見られているかを確かめる方法はホームページのアクセス数を確認する方法にまとめてあります。

※ 本記事は2026年9月時点の情報です。出典は次のとおりです。通信販売の定義、法第11条の表示事項、省略できる事項と省略できない事項の一覧、適用除外(法第26条)、行政処分・罰則は、消費者庁「特定商取引法ガイド」の通信販売のページ氏名の省略(Q15)、屋号のみが認められないこと(Q16)、住所・電話番号の省略(Q17)、プラットフォーム事業者・バーチャルオフィスの住所の表示(Q18)、私書箱(Q19)、留守番電話(Q20)は、同ガイドの「通信販売広告Q&A」表示例・番地の省略が認められないこと・冒頭部分から容易に到達できる表示方法は、同ガイドの「通信販売広告について」通信販売広告の範囲、レンタルオフィス等の扱い、送料の表示方法は、消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について(令和6年11月19日付通達)」にもとづきます。いずれも改定されることがありますので、判断の前にはご自身で最新の内容をご確認ください。本記事は一般的な情報の整理であり、個別のホームページが法律の対象になるかを判断するものでも、法律上の助言でもありません。また、表記を置くことでトラブルが起きないことをお約束するものでもありません。判断に迷われる場合は、弁護士などの専門家、またはお住まいの自治体の消費生活センターにご相談ください。

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