「そろそろホームページを」と調べ始めると、最初に出てくる分かれ道がこれです。個人の方に頼むか、制作会社に頼むか。検索すると金額の比較表がたくさん出てきますが、その数字を見比べても、たいてい決まりません。

理由は単純で、同じ「ホームページ制作」でも、見積に入っているものが違うからです。そして本当に効いてくるのは作っている最中ではなく、公開したあと——文章を直したくなったとき、連絡がつかなくなったとき、別の人に頼みたくなったときです。

この記事では、決める順番、見積のそろえ方、そしていちばん大事な「鍵」の話を、そのまま送れる質問文つきでまとめました(2026年9月時点)。なお私たち自身、ホームページを 税別50,000円(税込55,000円)で作っている安い側です(2026年9月時点)。その立場も隠さずに書きます。

01まず結論。決める順番は「金額」が最後です

多くの記事は「個人はいくら、会社はいくら」という金額の比較から入ります。ですが、金額は最後で構いません。先に決めるのは、次の順番です。

依頼先を決める順番。1番目に公開したあと誰が触るか、2番目にドメインやサーバーの名義、3番目に見積に含まれる範囲を決め、金額を比べるのは最後。 1 公開したあと、誰が触るか 自分で直す/頼んだ相手に頼む/まだ決めていない 2 鍵は誰の名義か ドメイン・サーバー・管理画面のIDが自分のものか 3 見積に何が入っているか ページ数・原稿・写真・修正・公開後の費用の範囲 4 金額 1から3がそろって、はじめて横に並べられる ここが決まって いないと、金額は 比べようがない 多くの人が ここから入る
図1: 依頼先を決める順番。金額を最後に回すと、比べるものがそろいます。

金額の違う2つの見積が並んでいても、片方に入っていて片方に入っていないものがあるなら、それは高い安いの話ではありません。違うものを比べているだけです。

そしてここが大事なのですが、1から3は相手が個人か会社かでは決まりません。どちらに頼んでも、取り決め方で決まります。

「個人か会社か」より先に、公開したあと、誰が何を触れるか。そこが決まっていれば、どちらでも進みます。

02違うのは人数ではなく「続き」

3つの選択肢を、費用ではなく進み方で並べてみます。

見るところ個人の方に頼む制作会社に頼む自分で作る
やりとりの相手作る本人と直接担当者を通すことが多い
進行をまとめる役決めておかないと不在になりやすい相手側にいることが多い自分
途中で止まったとき代わりの人がいないことがある社内で交代できることがある自分の時間しだい
公開後の更新その都度の依頼か、月々の取り決め運用・保守の契約があることが多い自分
費用の考え方幅が大きい。金額ではなく範囲で比べる(03)作成ツールの月額と自分の時間
向いている場面相談しながら小さく始めたい関わる人が多い・社内の承認が要る作る時間があり、更新も自分でやる

この表に「品質」の行を作らなかったのには理由があります。個人か会社かで、出来上がりの良し悪しが決まるわけではないからです。丁寧な個人の方もいれば、雑な会社もあります。逆もあります。

出来上がりの差は、相手の属性より依頼の中身がどれだけはっきりしているかで大きく動きます。だからこの記事では、相手を見分ける話ではなく、取り決めをそろえる話をします。

先に言葉を訳しておきます

見積書やメールに出てくる言葉は、だいたいこの7つです。意味が分かれば、聞き返せます。

  • ドメイン——example.com のような、住所にあたる文字列の契約
  • サーバー——ページのデータを置いておく場所の契約
  • レスポンシブ——スマートフォンで見ても崩れずに表示される作り
  • CMS——管理画面から、文章や写真を自分で直せる仕組み
  • ポートフォリオ——その人がこれまで作ったものの一覧
  • 要件定義——何をどこまで作るかを、先に決めて書き出すこと
  • 保守——公開したあと、動かなくなったときの対応や更新を続けること

03見積は金額ではなく「範囲」で比べる

ここが本題です。下の10項目は、そのままメールに貼って送って構いません。個人の方でも制作会社でも、聞くことは同じです。

確認することそのまま送れる質問文確認しないと、あとで起きること
ページ数何ページ分が含まれますか。増やす場合は1ページいくらですか公開の直前に「4ページ目は追加です」となる
スマホでの表示スマートフォンでの表示は含まれますか見に来る人の多くはスマートフォン。あとから別料金になる
原稿文章はこちらで用意する前提ですか「原稿支給」の一言で、こちらの手が止まって制作が動かなくなる
写真写真はこちらで用意しますか。撮影は含まれますか素材の購入費や撮影費が、あとから乗る
修正の回数無料の修正は何回までですか。何回目から、いくらですか「イメージと違う」が言いにくくなる
ドメインとサーバーこの金額に含まれますか。年にいくらかかりますか公開したあとに、毎年の請求が出てくる
問い合わせフォームフォームは含まれますか。届いたメールは、どこに届きますかフォームはあるのに、問い合わせが誰にも届いていない
自分で直せる範囲公開後、どこを、どうやって直せますか営業時間の変更ひとつにも、依頼と費用が要る
納品されるもの完成後、データ一式と管理画面のIDをいただけますか別の人に頼めなくなる(04へ)
公開後の費用公開したあと、毎月・毎年かかるものを全部教えてください「思ったより維持費がかかる」が起きる

送ったあとに見るのは、金額ではなく返事の形です。答えが返ってこない項目、「その時になったら」と保留される項目があれば、そこが後で費用になります。悪意がなくても、決めていないことは、決めていないままお金になります。

返ってきた見積書そのものの読み方は、ホームページ制作の見積書、どこを見る?にまとめています。

04いちばん大事な確認は「鍵」

ここだけは、金額よりも先に確認してください。ホームページには3つの鍵があります。

ホームページの3つの鍵は、ドメインの契約、サーバーの契約、管理画面のIDとパスワード。名義が自分なら別の人に引き継げるが、相手の名義のままだと、こちらから動かせる範囲が狭くなる。 ホームページの3つの鍵 ドメインの契約 example.com の契約 サーバーの契約 データを置く場所 管理画面のID 中身を直すための鍵 名義が自分(自社) 別の人にそのまま頼める 置き場所を引っ越せる 連絡が途切れても動ける 更新を自分で頼み直せる 選び直す自由が、手元に残る 名義が相手のまま こちらから動かせる範囲が狭い 移すには手続きが要る 連絡が取れないと待つしかない 住所(ドメイン)が変わることも 悪いことではない。知らないのが困る 相手が個人でも会社でも、確認することは同じです
図2: 鍵の名義で、あとから動けるかどうかが決まります。個人か会社かでは決まりません。

3つとも自分(自社)の名義になっていれば、あとで誰に頼んでも動けます。別の人に「ここを触ってください」と渡せます。逆に3つとも相手の名義だと、相手が動いてくれない限り、こちらからは何もできません。作ったものが自分のものかという話の前に、触れるかどうかの話です。

これも、相手が個人か会社かでは決まりません。ただ、個人の方に頼むときは「まとめてこちらで契約しておきます」という進め方になりやすいので、最初に一言確認しておくと安心です。

ドメインとサーバーは、こちらの名義で契約できますか。難しい場合は、あとでこちらに移す方法を教えてください。

相手の名義のままでも、それ自体が悪いわけではありません。手間が減るという良さもあります。大事なのは、そうなっていると知っていることと、移す方法を先に聞いてあることの2つです。

05連絡が途切れても動けるように、今しておく5つ

作る前と、公開の直後。この2つのタイミングで手を動かしておくと、あとがずいぶん楽になります。

  1. 鍵の名義を、メールで確認して残す
    電話や打ち合わせで聞くのではなく、メールで聞いてメールで返してもらいます。返信そのものが記録になります。
  2. ドメインとサーバーの契約先を、手元に控える
    どの会社と契約しているか、更新はいつか、支払いはどのカードか。紙1枚にまとめて、店の書類と一緒に置いておきます。
  3. 公開後すぐに、データ一式を受け取る
    「完成しました」の連絡が来たときが、いちばん頼みやすいタイミングです。あとから頼むと、相手も探す手間がかかります。
  4. 更新の頼み方と料金を、先に決めておく
    1回いくらか、何日で反映されるか、どこに連絡するか。この3つが決まっていないと、小さな修正ほど頼みづらくなります。
  5. 連絡先を2つ持っておく
    メールだけ、チャットだけ、という状態だと、片方が止まったときに打つ手がなくなります。

この5つは、相手を疑う作業ではありません。人は体調を崩しますし、引っ越しますし、事業をやめることもあります。会社でも担当者は代わります。自分の側に記録があるかどうか、それだけの話です。すでに連絡がつかなくなっている場合の進め方は、ホームページ制作会社と連絡が取れない時に、まず確認する順番にまとめています。

06実は、頼む側にも手続きがあります

あまり知られていないのですが、個人の方に仕事を頼むとき、発注する側に法律上の手続きがある場合があります

相手が「従業員を使用していない個人」または「代表者以外に役員がなく、従業員も使用していない法人」の場合、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律・令和6年11月1日施行)により、業務委託をしたら直ちに、書面または電磁的方法(メールやメッセージなど)で取引条件を明示することとされています。口頭で伝えることは認められないと案内されています(2026年9月時点)。

明示する事項として案内されているのは、次の8つです。

  • 発注する事業者と、フリーランスの名称
  • 業務委託をした日
  • 頼む内容
  • 受け取る期日
  • 受け取る場所
  • 検査を完了する日(検査する場合のみ)
  • 報酬の額と支払期日
  • 報酬の支払方法に関すること(現金以外で支払う場合のみ)

これは、頼む側に従業員がいない場合でも必要とされています。ひとりでお店をやっている方が、個人のデザイナーに頼むときにも当てはまる、ということです。

難しく聞こえますが、やることはメール1通です。上の項目を箇条書きにして送り、最後に「認識に違いがあればご指摘ください」と添える。相手から「その通りです」と返信が来れば、それが記録になります。契約書の形にこだわる必要はありません。契約書を交わす場合に見るところは、ホームページ制作の契約書、署名前に見る3行にまとめています。

なお、相手が従業員を使用している会社であれば、この法律の対象にはなりません。ただ、対象かどうかにかかわらず、同じ内容をメールで送っておけば、そのまま「決めたことの記録」になります。手間はほとんど変わりません。

書いている側の立場

最後に、この記事を書いている側の立場を開きます。私たちは制作会社ですが、安く早く作る側です。ホームページ制作は 税別50,000円(税込55,000円)、公開後の運用は月額 税別2,000円(税込2,200円)でご案内しています(2026年9月時点)。ですので「個人より会社のほうが安心です」と申し上げるつもりはありません。

03の10個の質問は、私たちに投げていただいても構いません。同じ質問に同じように答えられるかどうかが、比べるところだと思っています。

※ 本記事は2026年9月時点の情報です。取引条件の明示については、公正取引委員会が公開しているフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律・令和6年11月1日施行)に関する案内およびQ&Aにもとづいて書いています。法令や制度は改定されますので、判断の前にはご自身で最新の内容をご確認ください。本記事は一般的な情報の説明であり、個別の契約の有効性を判断するものでも、法律上の助言でもありません。特定の会社やサービスを批判する意図もありません。

FAQよくあるご質問

個人に頼むほうが、会社に頼むより安いのですか?

そうとは限りません。金額の幅は、個人の方でも制作会社でも大きいためです。同じ金額でも、ページ数・スマートフォンでの表示・原稿・写真・修正の回数・ドメインやサーバーの費用・公開したあとに自分で直せる範囲が含まれているかどうかで、中身は大きく変わります。比べるときは、金額を横に並べる前に「何が含まれているか」の項目をそろえてください。この記事の03に、そのまま送れる質問文をまとめています(2026年9月時点)。

途中で連絡が取れなくなったら、どうなりますか?

ドメイン・サーバー・管理画面の名義がご自身であれば、別の方に引き継いで作業を続けられることが多いです。名義が相手側のままだと、こちらから動かせる範囲が狭くなります。ですので、作り始める前に名義を確認して、やりとりをメールで残しておくことをおすすめします。相手が個人の方でも会社でも、確認することは同じです。すでに連絡が取れない状態であれば、まず契約書や過去のメールで、契約先と名義を確かめるところから始めてください。

契約書は交わしたほうがいいですか。個人の方には言い出しにくいのですが。

大げさな契約書でなくても構いません。頼む内容、納品してもらうもの、期日、金額と支払日。この4点を箇条書きにしてメールで送り、「認識に違いがあればご指摘ください」と添えるだけでも記録になります。むしろ、相手が従業員を使用していない個人などの場合は、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律・令和6年11月1日施行)により、発注する側が書面または電磁的方法で取引条件を明示することとされており、口頭で伝えることは認められないと案内されています(公正取引委員会の案内・2026年9月時点)。言い出しにくいことではなく、頼む側の手続きだとお考えください。

作ってもらったあと、文章や写真を自分で直せますか?

作り方によります。管理画面から直せる形で作ってもらうこともできますし、直せない形で作られることもあります。頼む前に「公開したあと、どこを、どうやって直せますか」と聞いてください。自分で直せない場合は、更新1回あたりの料金と、依頼してから反映までの日数もあわせて確認しておくと、あとで困りません。当社では、公開後の運用を月額 税別2,000円(税込2,200円)でお引き受けしています(2026年9月時点)。

まとめ

決める順番は、1. 公開したあと誰が触るか → 2. 鍵の名義 → 3. 見積の範囲 → 4. 金額。金額は最後です。この順番にすると、比べるものがそろいます。

そして「個人か会社か」という分け方そのものが、実はあまり役に立ちません。人による差は、どちらにもあるからです。差がつくのは、取り決めが手元に残っているかどうか。03の10個の質問と、04の鍵の確認。この2つを済ませておけば、どちらに頼んでも、あとから動けます。

「うちの場合、どこまで頼めばいいのか」という段階のご相談も歓迎です。いま届いている見積書があれば、そのままお見せください。無料相談は15分から承っています。売り込みはしません。

xFactory 編集部
ローカル業者の「つくる」を、手の届く価格に。現場で効くノウハウをお届けします。